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TPP~通商政策 今後も警戒 経済混乱に懸念も

  • 2017年1月21日 14時13分

 トランプ大統領の就任と環太平洋連携協定(TPP)離脱の正式表明を、管内の経済や農業関係者も強い関心を持って見守った。TPPは発効が困難になったが、それに代わる通商政策の行方を警戒。就任演説で強調された「アメリカ第一主義」の方針には、日本をはじめ世界に与える影響を懸念する声が聞かれた。

 日銀帯広事務所の加藤健吾所長は「仮に貿易で保護主義的政策を前面にした場合、日本の輸出産業に影響が出る。ただ、十勝の安心安全な農作物は世界的需要があり、影響リスクは低いと思う。2国間貿易交渉の場合は、十勝農業も注視する必要がある」と語った。

 JA道中央会の飛田稔章会長は「TPPが発効されなくても、今後も日欧EPA(経済連携協定)をはじめさまざまな国際貿易交渉が道農業や道民生活に及ぼす影響を懸念する」とし、新政権の通商政策などに注目する考えを示した。

 十勝地区農協組合長会の有塚利宣会長は「離脱は米国の考えでわれわれがどうこうと言うことはない」とする。ただ将来の食料危機に備え、政府は国内農業の在り方を見直す機会だと強調。「生命産業の農業をどう守り、前進させるべきか議論してほしい。生産現場として食料の安全保障の重要性を訴えたい」と語った。

 全十勝地区農民連盟の西原正行委員長は「あまりに自国中心、経済最優先だ。世界に自由主義を広めてきた流れが変われば、混乱もあるのでは」と懸念。日米FTA(自由貿易協定)には「輸出自体は反対ではないが、農業の犠牲の上に成り立つ貿易交渉には納得がいかない」と強調した。

 帯広商工会議所の高橋勝坦会頭は「FTAや強いアメリカを打ち出す貿易政策などに関し、日本政府がどう対応するか。それで十勝の経済団体もどう動くべきか変わる。まずは政府の政策や出方を注視」と述べた。

 高橋はるみ道知事は「トランプ氏の貿易をめぐる一国保護主義的発言にはやや違和感がある」としつつ「TPPがどうなろうとも、しっかり北海道農業が成長産業として育つよう支援を続けたい」と語った。

 TPP問題を考える十勝管内関係団体連絡協議会の高橋正夫会長(本別町長)は「保護的なことばかりでなく、世界の国々を尊重することが重要。アメリカが『宇宙船地球号』の舵取りをしてほしい」と求めた。
(安田義教、木村仁根、佐藤いづみ、道下恵次)

TPP離脱に安堵も 「米国第一」に不安感
<十勝の声>

 日本の外交、内政を大きく左右する米国の新しいリーダーが20日(現地時間)に就任した。TPP(環太平洋連携協定)の離脱を表明し、「米国第一主義」を掲げるドナルド・トランプ新大統領。先行きがまだ明確には見えない中、十勝管内でも農業者や市民らが今後のかじ取りや影響を注視している。

 幕別町で約40ヘクタールを営む畑作農家の村田辰徳さん(34)は「TPPはしっかりと議論したのか疑問な部分もある。発効しないのであれば安心できる」とする一方、「2国間のFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)に移るとの話もあり、より厳しい要求を突きつけられるかもしれない」と不安も見せる。「若い世代として、しっかり農業施策を取るよう国に求めていきたい」と話す。

 同じく畑作農家で、産地直送に取り組む帯広市美栄町の森田博之さん(41)は「関税撤廃をきっかけに経済成長するアジアやアメリカを視野に販路を広げる予定だったので、TPPがご破算になれば計画を修正しないと」とし、「TPPの賛成、反対とは別に、自分の経営で切り抜けていかないと」と力を込める。

 士幌町の畜産農家鎌田尚吾さん(45)は、米国がTPPを離脱しても、2国間貿易協定の可能性があるとみる。ただ、仮に米国産の安い牛肉が大量に輸入されても「飼料用のトウモロコシの価格も下がれば、太刀打ちできるのでは」。

 高騰が進む飼料は畜産農家にとって経費の大部分を占めるため、自由貿易で価格が下がれば農家にとってプラスにもなるという。今でも牛肉は6割以上を輸入に頼っているのが現状で、「外国産の牛肉が入って来るのは止められない。逆に差別化を図り、国産の魅力を伝えるチャンスにしていかなければ」と語る。

 帯広消費者協会の小笹勅雄専務理事(62)は、TPPが発効しない見通しとなったことに安堵(あんど)しつつも、「米国第一主義を唱えるトランプ氏が2国間協議を進めるのかなど今後は不透明。食の安全や環境問題がどうなるか分からず、消費者保護の観点では今まで以上に不安が増している」と、米国の動向を注意深く見守る考えだ。

 一方、1994年にルワンダで難民救援任務に当たった帯広市の自衛隊OB松岡忠靖さん(75)は、在日米軍の駐留費負担増や撤退の示唆について「アメリカの後ろ盾は必要だが、これ以上の負担増は迷惑な話。どれだけ実現しようとしているのか注視が必要」とする。新大統領が強調する米国第一主義について、日本が振り回される事案が出る可能性もあるとしながら、「『世界の警察』としてテロの脅威に立ち向かうには強いアメリカでいてもらわないと」とも話した。
(安田義教、眞尾敦、川野遼介、池谷智仁、藤島諒司)

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