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2国間協定に警戒感 米「TPP離脱」

  • 2016年11月23日 14時02分

農業者、政府姿勢を注視
 米国のトランプ次期大統領が当選後初めて示した環太平洋連携協定(TPP)からの離脱表明に対し、十勝管内外の農業関係者、研究者らも今後の行方を注視している。TPPに反対姿勢を見せてきた関係者は、協定発効が困難になったことを肯定的に受け止めながら、代わりとなる2国間貿易協定を想定して強い警戒感を示した。日本政府の姿勢が変わらなければ状況は改善しないとの見方や、強い農業づくりを続ける必要性を説く声も上がった。(TPP取材班)

 道の試算では、TPPが発効された場合、道内の農林水産物の生産減少額は最大で598億円に達し、十勝農業にも強い影響を及ぼすとみられていた。

 そのTPPは発効が困難になる見通しだが、十勝地区農協組合長会の有塚利宣会長は「国内対策として進めている農家の生産額や所得、食料自給率の向上といった持続的農業に向けた政策は後退してはいけない」と強調。新たな2国間協定を警戒し、「(米国からの)強い押し付けがあってはならない」と語った。

 全十勝地区農民連盟の西原正行委員長は「(トランプ氏は)自国に有利かどうかで判断している。日本政府の基本姿勢が変わらなければ、今後も自由貿易を前提に話が進んで農業分野で譲歩が予想される懸念は続く」と話した。

 芽室町の農業黒田栄継さん(40)は、TPPが回避されても十勝農業を取り巻く環境は大きく変わらないとの見方で、「一喜一憂せずに、農家を続けていくための準備や課題解決がこれからも必要。農業が持つ価値を共有してもらう取り組みも進めなければならない」と語った。

 医療関係者はこれまで、TPP協定参加による国民皆保険制度の崩壊を懸念してきた。交渉内容が不透明なため、道医師会は混合診療の解禁や営利企業の医療機関経営参入も危惧。帯広市医師会の稲葉秀一会長は「トランプ氏は離脱の意向かもしれないが、日本政府がどう考えているかは分からない」とし、「医師会としてはTPP反対のスタンスを取り続けていきたい」との方針を示す。

 帯広消費者協会も現時点では政権発足前の動きで、状況を見守る。ただ承認案をめぐる国内論議に小笹勅雄専務理事は「食の安全確保を明確にするよう求めてきたが、議論の中身が伝わってこない」と指摘する。

 管内30団体でつくるTPP問題を考える十勝管内関係団体連絡会議の高橋正夫代表(十勝町村会長)は、「TPP協定で私たちの生活がどうなるのか、不安は払拭(ふっしょく)されなかった。これを機にもう一度、将来に向けた農業の在り方などを考えなければいけない」と語った。

開放圧力強まる 米国抜きも 識者指摘
 トランプ氏のTPP離脱表明に対し、TPP反対派の東大大学院農学生命科学研究科の鈴木宣弘教授と、推進を主張する同科の本間正義教授は共に、日米の2国間の自由貿易協定(FTA)になれば米側の開放圧力が強まるとの見方を示した。状況の打開に、鈴木氏は現政権の姿勢を変えることが必要とし、本間氏は米国抜きのTPPなども模索すべきと語った。

 鈴木氏は「米国にとって利益になる2国間FTAで、TPP以上の水準の譲歩を日本に要求してくる」と語る。安倍政権について「米国に貢献することによって一部の人が守られている。米国に逆らうことはできない」とし、もし日米FTAになれば、日本政府は農業分野ではさらに譲歩すると展望。「現政権の流れそのものを止めないと根本的な解決にはならない」と訴えた。

 本間氏は米国のTPP離脱を「対外的に閉ざすことではない。より有利な条件のきつい要求をしてくると考えられる」とする。トランプ氏の翻意を促してきた日本政府だが、今後は米国抜きのTPP発効や、米国以外の国とのFTAなどを模索すべきとし、「日本の条件を通すための駆け引きも必要」と語った。農業地帯の十勝には「自由化や関税撤廃などあらゆることが想定される。政策や対外交渉に左右されない経営ビジョンを持ってほしい」とした。

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