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TPP対策、十勝への期待語る 農水省前国際部長の大杉氏

  • 2016年7月10日 14時00分

<プロフィル おおすぎ・たけひろ>  1960年、香川県生まれ。84年東大法学部卒、85年に農林水産省に入省。2009~10年に北海道農政事務所長。内閣官房内閣参事官TPP・農業再生担当、大臣官房審議官(国際)などを経て、15年8月に大臣官房国際部長併任内閣官房内閣審議官TPP政府対策本部員。16年6月から現職。

再生産可能なTPP対策に
交渉で守りきれなかった部分を補填

 農林水産省の前大臣官房国際部長(現・水産庁漁政部長併任内閣官房内閣審議官TPP政府対策本部員)の大杉武博氏(56)が9日、十勝毎日新聞社でインタビューに応じ、環太平洋連携協定(TPP)の交渉結果と国内対策の狙いを語った。関税引き下げなどで影響が及ぶ品目に国内対策を打つことで、生産者が再生産できる見通しを示し、十勝農業の成長産業化に期待を寄せた。(関坂典生)

強い思いと先見性
 大杉氏は8日に十勝入りし、十勝地区農協組合長会との意見交換や帯広大正、さつない、十勝清水町の3JAを訪問、TPP大筋合意後の現場の状況を調査した。同氏は「TPPを理由に農業が難しくなったという声は他地域から聞こえるが、十勝からは聞こえてこなかった。農業への強い思いと先見性、洞察力が優れている証し。十勝は農業の成長産業化に取り組んでいる優れた地域だ」と印象を語った。

国会決議が後ろ盾
 米、麦など重要5項目の関税維持を求めた国会決議は「交渉に当たって大きな後ろ盾になり、関税撤廃が当たり前のTPPにならなかった。米国が関税撤廃できないと理解することになったのは国会決議があったからだ」と振り返った。

 参加12カ国のTPP交渉姿勢では「米国以外は日本に100%関税撤廃を求めたが、米国は関税撤廃できなくても市場アクセスの改善を勝ち取ることで国内業界を納得させようとする交渉能力があった」とした。

撤廃95%は厳しい
 日本の全貿易品目のうち、TPPで関税をなくす品目割合(関税撤廃率)は95%。撤廃率が高い日豪EPAの89%を上回る。「関税撤廃率90%前後までは国内対策を用意することなく経済と農業を両立できるが、95%では農業は厳しい。国境措置(関税)で影響を食い止められない部分が出るため国内対策をしている」と説明した。

 100%関税撤廃が原則と言われたTPPだが、5%の関税維持や、差額関税制度、セーフガードなどを獲得したことを示し、「TPP交渉結果としては最善のものになった」と主張。

 ただ、市場アクセス改善の結果も含め、影響が及ぶ品目では「交渉で守り切れなかった部分を補填(ほてん)する考え方だ。国境で守っていたものを国内対策で対応するのはわが国の経済協定の中で初めて」と話した。

 経営安定に備えて牛肉、豚肉のマルキン制度の充実と法制化などを挙げ、「意欲ある生産者が確実に再生産できるような国内対策になっている」と強調した。国内対策の財源不足を懸念する指摘には「(国の予算編成をする財務省の)主計局と農水省で対応することになっている」と、財源が確保できる見方を示した。

 6月の人事で着任した漁政部長としては「漁業者がもうかる経営ができるよう後押ししたい」と抱負を述べた。

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