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十勝毎日新聞社ニュース

「予想以上」農業界沸く TPP試算が冷や水 農畜産物取扱高3233億円

  • 2015年12月25日 13時30分

初の3000億円超えを発表した十勝地区農協組合長会の有塚利宣会長(中央)ら(24日)

政府見通し甘さ指摘も
 24日に発表された十勝管内JAの農畜産物取扱高が過去最高の3233億円を記録したことに、地元農業界からは喜びの声が上がった。生産増の手応えにも沸くが、同日午後に政府が発表したTPP(環太平洋連携協定)の経済効果分析は、国内の生産額減少を認めつつ生産量は維持されるという楽観的な内容。根拠となっているのは政府の国内対策のみで、農業関係者には将来見通しへの疑念や不安も広がっている。

 初の3000億円台突破は、畑作の主力である小麦の大豊作(前年比55%増)に加え、肉用牛(同27%増)や酪農(同11%増)の増額が後押し。十勝農協連の山本勝博会長(JA中札内村組合長)は酪農・畜産の伸びに「生乳生産量や乳価、子牛価格の上昇で大きな取扱高になった」と話す。

 帯広市内で乳用種の肉牛約4000頭を飼う北海道肉用牛生産者協議会の小倉豊会長=JA帯広かわにし専務=は、過去最高の数字に「予想以上。全国で肉牛の頭数が減る中、十勝は維持してきたことで価格が高くなって生産高も上がった」と評価する。

 ただ、TPP試算で、牛肉は生産減少額が約311億~625億円とされた。半面、経営安定対策などで生産量は維持されるとの見通しに「生産額が落ちるだけというのはかなり強気。価格が下がる分を対策で補う意図だろうが、傷ついた部分まで行き渡るかどうか」と疑う。

 十勝で主体のホルスタイン雄の価格についても「軒並み下がるだろう。試算では『和牛・交雑は品質・価格面で輸入と差別化されている』とするが、過去の例でも全体が引きずられて価格が下がる。国産全体の消費が落ち、生産量も減少するだろう」と懸念する。

 本別町で70頭を搾る酪農家で、十勝乳牛改良同志会連合会の星崎政博会長は「肉の価格が絶好調で個体販売が伸びている。燃料代や餌代も下がり、経営的に好条件となった」とする。一方、「これがいつまで続くか。規模拡大も判断が難しく、TPPも先の予測がつかない」と心配する。

 鹿追町で畑作を営む西上経営組合の上原明彦代表も取扱高を「農家一戸一戸の努力が実った」としつつ、TPPに対しては「国が決めたものはどうしようもない。足腰の強い経営体をつくり、(何がきても)対応できる体制にするのが大切」と受け止める。

 清水町の養豚農家青木賢一さんは、取扱高増を「消費者が十勝・道内産に信頼を持っている」と受け止める。TPP対策では肉牛や豚の赤字補填(ほてん)の9割拡大が盛り込まれたが、「残り1割で経営が難しくなる農場も必ずある」と厳しい将来を予測する。

 輸入は増え、価格では太刀打ちできないとし、「十勝産は安心・安全でしかもおいしい。それ(TPP)までに食べてファンになってもらい、選んでもらえる豚肉を作っていかねば」と戦略を描いている。(小林祐己、眞尾敦、星茉莉枝)

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