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「健土健民」掲げ経営の永続実現へ 酪農学園大学農食環境学群 荒木和秋学群長

  • 2015年11月20日 13時10分

 酪農学園大学(江別市)は、1933年に創設された前身の北海道酪農塾から歴史を刻む。創設者の黒澤酉蔵氏は道内酪農のリーダーとして「寒地では酪農をベースとする『循環農法』が重要」と唱え、その発展に尽力した。すこやかな土が人の健康を育むという「健土健民」を大学の基本理念とし、農食環境学群はまさにその理念実現のための研究を行っている。環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意で北海道農業が大きな転換期を迎えた今、農業発展にどう寄与していくのか、荒木和秋学群長に聞いた。(道下恵次)

自給飼料活用し国土保全 TPP対応
 -「健土健民」の理念を日々の教育や研究で、どう生かしているか。
 基本的には地域社会が永続していくこと。農家の経営が永続していくために何が必要か、農家の経営が健全な形で行われているか、土も草も家畜も人も健全か、それらも大事なポイントだ。学生には幅広く長期的な視野に立ち勉強してもらっている。短期的にただ利益を上げればいいということではなく、農家で働く人が健康で、後継者もいっぱい残っているような、そんな永続の考え方を教育の基本にしている。また、体験を通して学ぶ実学教育を重視しており、生産現場とのつながりを密にしている。

 -創設者が本道酪農の基礎を築いた点で、大学としての使命感は。
 酪農発展のための研究をしているが、日本の酪農の歴史は非常に浅い。試行錯誤を繰り返す中でまだ完成形ではなく、さらに永続的で発展する形があると思う。その基本が循環農法という理念だ。欧米のいろいろな技術は入ってきたが、問題点も出ている。それらをどう改善していくか、絶えず調査、研究を行っている。さらに食料問題や環境問題など人間が生きていく上での基本的課題に取り組んでいる。

 -TPPが大筋合意し、自由化の波が来た。
 酪農は国の産業で、食品を提供するという観点でも非常に重要だが、これまで海外の穀物に依存してきた。これを是正しないと納税者の支持は得られないのではないか。自給飼料をしっかり活用し国土を保全していくという考え方が問い直されている。消費者、納税者には品質の良い牛乳や乳製品を提供し、国土保全型の酪農を行い、農家数を維持して地域社会を守っていく。そうすれば納税者も支援してくれる。

 -十勝への期待は。
 日本最大の食料基地で、十勝農業の発展が日本の食料を守っていく。そのためには農家関連団体、支援組織が協力し合い農家を支えることが大事。日本農業のけん引役が十勝農業だと思う。農家の経営レベルは高く歴史もある。一時離農もあったようだが、実力のある人が残っている。その意味で期待は大きい。

国際競争力付ける戦略を
 荒木学群長は97年から1年間、TPP参加国でもあるニュージーランドに留学した。同国と日本の酪農の構造比較研究を重ねた結果、「日本は国際競争力への観点、国の戦略が欠けていた」と指摘する。

 ニュージーランドの酪農民は後継者でも能力がないと就農できないことに注目。技術力、経済力、信用力の3力がなければ銀行からの借り入れも不可能という。国家資格制度の発展により酪農民も国家資格が必要で、農場主になるにはさまざまな条件もある。日本の後継者育成は能力アップを図ることが重要で、酪農業界は酪農の社会的な価値をアピールするべきだと訴える。

 「ニュージーランドには補助金制度がない。だから酪農民はどうレベルアップを図るか考えてきた。逆に日本は補助金で競争力が弱くなっている」とし、TPPで自由化の波が押し寄せることに対し、北海道酪農は国際競争力を強化すべきとの考えを示している。

<農食環境学群>
 環境農学、食と健康、環境共生の3学類。環境農学類は農畜産物の生産と環境との関係性がテーマで、食と健康学群は食を原点として生産から流通、健康に至るまで幅広く研究している。環境共生学群では、環境をめぐる諸問題を科学的に解決するための知識や技術を実学教育に取り入れている。

<プロフィル>
 1951年熊本県生まれ。東京農工大大学院修了。道立農業試験場を経て、86年から酪農学園大に勤務。98年に教授となり、2013年から現職。専門は農業経済。

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