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TPP十勝基幹作物を直撃 交付金の維持が鍵

  • 2015年10月8日 13時40分

 大筋合意に至った環太平洋連携協定(TPP)の内容が、政府発表や報道などで徐々に明らかになってきた。十勝の農業への影響は、関税の全撤廃を前提とした道や政府の試算に比べれば小さいものの、基幹作物の小麦や酪農・畜産の打撃は避けられない見通しだ。関係者への取材やこれまでの試算を参考に、TPPの十勝への影響を検証した。

■小麦
きたほなみは輸入と同水準

 発効から9年かけ、段階的に実質的な関税(マークアップ)を45%削減する。国が輸入小麦を買い入れ、製粉会社などに売り渡すことで流通を管理する国家貿易は維持する。

 今年4月現在の輸入小麦の政府売り渡し価格は1トン平均6万70円。マークアップは1トン約1万7000円。45%削減されれば7650円輸入麦が安くなる。

 国産小麦は、主にうどん用の十勝の主力品種「きたほなみ」の入札価格が1トン5万円前後。流通量が少ないため加工コストは割高になりがちだが、小麦そのものの価格ではマークアップ削減後の輸入とほぼ同じ。

 パンなどに向く強力品種は2年ほど前は1トン8~9万円だったが、最近は5万円を切る水準。円安による輸入値上がりや新品種の登場で国産が競争力を得ていたが、TPPで再び輸入が有利になる可能性も高い。

 価格や品質なら関税削減後も十勝産が競争できる可能性はあるが、最大の問題は関税を財源とする農家への国の交付金。小麦農家の所得の6割以上は補助金で、原資が減ったことにより削減されれば、小麦の生産コストは大幅に上昇、価格も上がって競争どころではなくなる。小麦を作っても利益が出なければ作る農家も減少する。

 政府試算は関税撤廃時、小麦は99%生産量が減少するとされた。他作物に比べて省力化できる小麦は、十勝の大規模農業では欠かせず、12%しかない小麦自給率向上の必要もある。TPP後どうなるかは、財源が厳しい中で交付金制度を維持できるかが鍵になる。

■酪農
バター不足時輸入量下回る

 発効6年目以降、「優遇輸入枠」としてバターや脱脂粉乳を生乳換算で7万トン受け入れる。バターの在庫増による価格、乳価の低下などを招く恐れもある。ただ、新たな輸入枠を全量バターに換算すると5600トンほどで、全国的なバター不足で6月以降に追加輸入している1万トンより少ない。府県の生産減少で今後生乳が余る状況にはならない可能性も高く、「影響は限定的」との見方もある。

 関税の全撤廃を前提とした政府試算では府県の酪農がほぼ全滅し、飲用向けは道内産に置き換わるとされた。バターに植物性油脂を混ぜた「ペフ」の輸入拡大など、TPPは内容が不透明な部分も多く影響は未知数だが、試算ほどの急激な変化にはならない見込み。

■肉牛
100グラム10円安か 牛肉は未知数

 牛肉は現行38・5%の関税を協定発効時に27・5%、16年目以降は9%に削減する。今年発効した日豪EPA(経済連携協定)が15年目に23・5%(冷蔵)だったことを考えるとはるかに低い関税になる。

 農水省の担当者は日豪EPAの最終的な関税で、100グラム200円の牛肉が6円程度値下がりするとの見方を示していた。これを応用すればTPPでは最終的に10円以上値下がりするが、為替の影響も大きく、実際の値下げ幅は未知数だ。

 また、最近まで中国の旺盛な消費欲で輸入牛肉も高値傾向だったが、中国経済の停滞で日本に安い牛肉が流入する可能性もある。小麦と同様、関税が生産者への補助金の原資となっており、今後の制度の行方が注目される。

■砂糖
加糖調整品は影響の可能性

 粗糖・精製糖はほぼ現行の関税を維持するため、十勝への影響は少ない。ただ、加糖調整品は品目ごとにTPP枠を設定して輸入拡大するため、影響が出る可能性もある。
(眞尾敦)

<十勝総合振興局のTPP影響試算>
 2010年に関税全撤廃を想定してまとめた。生産額が十勝全体の約半分の1382億円、関連産業が1298億円、地域経済が2357億円、計5037億円減少するとされ、雇用も4万400人失われる試算となっている。

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