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十勝毎日新聞社ニュース

TPPには無理がある 東京大学大学院・鈴木教授講演

  • 2015年9月12日 13時00分

 【音更】環太平洋連携協定(TPP)反対論者として著名な東京大学大学院の鈴木宣弘教授が3日、町文化センターで講演した。TPP交渉からの撤退を訴える鈴木氏の講演要旨を紹介する。
(眞尾敦)

食で世界掌握狙う米国・核心隠す日本
合意前提の資料

 政府は7月末のTPP閣僚会合(米ハワイ州)で「今度こそ決まる」と前のめりだった。8月1日に首相の会見は何時と決まっており、農業被害や対策について108ページの資料が準備してあった。そんな準備ができているのはおかしい。

 なぜこんなに決まらないのか。冷静に考えたらTPPには無理がある。米国でさえ、オバマ大統領にTPA(大統領貿易促進権限)を与えるかどうかもめた。与党の民主党が大企業の利益優先に反対した。

 日本は閣僚会合でニュージーランド(NZ)を戦犯にしたが、本当は日本が戦犯。自動車の原産地規則で、メキシコともめた。なぜ核心を隠して、国民を欺くのか。

 もう1つもめたのが、薬の特許の保護期間。TPPは規制緩和のはずなのに、米国は(特許期間を長くする)規制強化を求めている。ジェネリック(後発)医薬品が出づらくなる。命や健康、環境を犠牲にしても巨大企業の利益が出ればいいのか。

「まず日米だけ」
 NZが乳製品の関税撤廃を主張したことはおかしいことではない。もともとTPPは全ての関税を撤廃する原則で、NZなど4カ国が交渉を始めた。

 しかし、他の国は乳製品で関税撤廃できない。酪農の生産コストはNZとオーストラリアが1キロ20円、アメリカはその2倍の40円、日本やカナダはその倍かかる。関税を撤廃したら、アメリカ、カナダ、日本の酪農は崩壊し、NZとオーストラリアだけが酪農生産を続けることになる。

 アメリカは関税撤廃を絶対受け入れられない。アメリカで酪農は公益事業とも言われ、必要な量が必要なときに供給できないといけない。NZの要求を受け入れたら社会不安が起こる。

 今回の交渉の一番の問題点は、日米2国間で全て交渉が終わってしまったこと。米国側のニュースで出ていたが、日本側がとりあえず日米2国間でTPPを発効し、他の国は後から入れればいいと提案したという。本当に情けない。

安い平均関税
 米国は多い年では農業に1兆円も補助金を使って、戦略的な武器として食料を安く売り、世界をコントロールしようとしている。食料を売りやすくするために、日本は丸裸になれというのがTPPだ。

 国防としての農業について、日本人は能天気極まりない。食料は軍事、エネルギーと並ぶ、国家存立の3本柱だ。日本の農産物関税は、重要5項目の関税は確かに高いが、それは全体の1割。野菜など9割は安い関税で戦っている。農産物の平均関税11・7%はEUの半分だ。

 日本の農業は過保護だから耕作放棄地が増えたのではないし、アメリカの農業が何もしないで競争力があるというのはうそ。アメリカは徹底した農業政策で世界を牛耳ろうとしている。

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