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国民皆保険 崩壊危機… 薬価が高騰の可能性 医療の地域格差懸念

  • 2015年7月26日 13時42分

交渉の進め方「問題」 医療関係者
 環太平洋連携協定(TPP)交渉が、28日に米国ハワイで始まる閣僚会合で大詰めを迎える。締結されれば農業分野にとどまらず、日本の医療制度にも悪影響を与えることが懸念される。医療業界は早くから反対を唱えてきたが、それが交渉にどう反映されているかは不明。最終局面を迎えてもなお協定の具体的な内容が見えない現状では、医療関係者は従来通りの反対姿勢を示しつつ、交渉の行方を見守るしかない状況だ。

 医療分野ではTPP妥結が、「誰でも、いつでも、どこでも、平等に医療が受けられる」ことを保障する国民皆保険の崩壊につながるとし、日本医師会などが反対してきた。これに対し政府は「TPP交渉では公的医療保険制度の在り方は議論の対象になっていない」とし、皆保険制度維持の姿勢を主張する。

 ただ、保険制度そのものは議論の対象になっていないとしても、保険診療と保険外診療を同時に受ける混合診療の解禁や、営利企業の参入を求められるとの懸念は根強い。これらを認めると患者の経済力によって受けられる医療が変わったり、不採算分野から医療が撤退する事態が想定され、事実上、皆保険が形骸化する恐れがある。

 帯広市医師会の稲葉秀一会長は「例えば株式会社参入を認めれば、地域によって格差が生まれるだろう。そのような皆保険を覆すような政策には反対する」と、医師会の立場を説明する。ただ、それ以上の反対の論拠には乏しく、道医師会が6月の臨時代議員会で出した決議でも、TPPに反対する理由は「株式会社の参入を事実上認めることになる」とするにとどまる。
すべて反対だが…

 稲葉会長は「TPPにはすべて反対は反対なのだが、どこまでが守られ、どこまでが内々に進んでいるのか分からないため、あまり声を大にできない。どの分野がどうという以前に、交渉の進め方そのものの問題だ」と批判。TPPの具体的な中身について情報を公開した上で議論する必要性を強調する。

 医療分野では他にも、知的財産権の保護強化を求められることで、安価なジェネリック医薬品(新薬の特許期間満了後に販売される薬)の導入が遅れる懸念がある。また、海外の投資家から公的薬価制度を非関税障壁として訴えられ、制度の崩壊、薬価高騰につながるとの指摘もある。

国民の危機感薄い
 日本薬剤師会はこうした点を挙げてTPPに反対し続けているが、国民の間で危機感が共有されていないのが現状だ。道薬剤師会十勝支部(宇野雅樹支部長)の松本健春副支部長は「皆保険で守られている国民にコスト意識がなく、薬の価格が多少上がるぐらいは何ともないと思っているのでは」と指摘。「TPPによって具体的にどんな規制緩和が求められるかは分からないが、40兆円の市場(年間の国民医療費)が狙われるのは明らか。それによって皆保険が崩壊すれば、一部の金持ちしか十分な医療を受けられなくなるということを、医療関係者が訴えていかなければならない」と話す。(丹羽恭太)

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