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TPP譲歩案に不安 十勝管内農家「約束どこへ」

  • 2015年2月3日 13時35分

 環太平洋連携協定(TPP)で、牛肉関税の引き下げなど農産物に関する政府の譲歩案が続々と出ていることについて、十勝の農業関係者から不安の声が上がっている。世界的に食料需要が増大する中、食料供給を確保するしっかりとした国内対策を求める意見も多い。

 TPPをめぐっては、2日に米ワシントンで日米間の実務者協議が再開。農産物と自動車の両分野について包括的な合意案づくりを目指しており、まとまれば交渉全体の大筋合意も近いとの見方もある。

 これを前に、コメの他、十勝に関わる品目では「牛肉関税は現行の38・5%を9%に引き下げ」「1キロ524円以下の豚肉関税は1キロ当たり482円から50円に」「乳製品の一部で無関税や低関税の『特別枠』を拡大」など譲歩案が漏れ伝わる。牛肉、豚肉は輸入量が一定を超えた場合、関税を引き上げるセーフガードの設定も焦点だ。

 肉牛約1700頭を飼う士幌町肉牛振興会の鎌田尚吾会長(43)は「9%は予測できなかった話ではないが、『聖域を守る、国会決議を守る(牛肉など重要5項目の関税を守る)』という約束を政治家はどう考えるのか。0%でないから約束を守ったということにはならない」と憤る。

 鎌田さんは「国が何もしてくれない一方、厳しい時代に立ち向かうための行動を取らなければ」と消費者とつながる活動に力を入れる。政府に対しては「国産がなくなれば、食料をネタにした外国との駆け引きになる可能性もある。国の食料がなくなったときのことを、もっと真剣に考えて」と求めている。

 幕別町で経産牛約260頭を飼う酪農家の男性(53)は「関税は変わらないほうがもちろん安心だが、もう流れは止められないのでは」と交渉の進展を不安視する。一方で「反対、反対と言っていても、本当にTPPが妥結した時にどうするか考えないと。酪農はTPP以前に離農が進んで、集約や大型化も限界。中国など新興国が世界の食料を大量に買う中、国内需要を満たせなくなるのでは」と国内対策を求める。

 北海道農民連盟の山田富士雄委員長(全十勝地区農民連盟委員長)は「日豪EPA(経済連携協定)が目安と思っていたが、(牛肉関税など)それ以上の引き下げ案だ。本当なら完全に国会決議に反する」と強調する。「今後は国内対策と引き替えの条件闘争になるかもしれないが、日本の食料をどうするかしっかり位置付けを」と求める。

 十勝地区農協組合長会の有塚利宣会長は「交渉がどんどん進んでいるように思える。作付け前の大事な時期に将来がどうなるか、農家は不安に包まれている」と心配する。その上で、「反対、反対という時期ではなくなってきた。世界の人口72億人のうち飢餓人口は10億人という。将来世界人口が90億人に増える中、国際的に穀物争奪戦になる。(TPP後も見据え)国内の食料対策をしないと、(政府が進める)地方創生どころではない」と話している。(眞尾敦、津田恭平)

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