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TPPに「例外なし」 鈴木東大大学院教授の講演要旨

  • 2013年10月12日 13時10分

すずき・のぶひろ。1958年、三重県生まれ。82年東大農学部卒業。農林水産省、九州大教授を経て2006年から東大大学院教授。専門は農業経済学。著書に「よくわかるTPP48のまちがい」など。

アジア市場狙う米企業に利益
 環太平洋連携協定(TPP)反対論者として知られる東京大学大学院の鈴木宣弘教授が8日、帯広市内で開かれた「日本の“農”講演会2013in帯広」(全国開拓振興協会主催)で講演した。TPPをアジア市場を狙う米国の多国籍大企業のためのものとする鈴木氏の講演要旨を採録する。(眞尾敦)

 (小麦や砂糖など重要5項目が関税撤廃の検討対象になると明らかになったことで)TPP交渉の化けの皮が剥がれてきた。(政府・与党は)初めから5項目を守る気はなかった。

 自民党はTPPで守るべき6項目の国益を掲げたが、今の段階で全て破綻した。その1つが(重要5項目の)聖域だ。交渉参加時に「聖域なき関税撤廃を前提としない」と言っていたのもうそだった。守るべき基礎食糧を守ることが大切。それは十勝で皆さんが頑張って作っている作物だ。

 日米2国間では交渉がどんどん進み、国益を譲り渡している。TPPは米国の巨大多国籍企業がもっと日本でもうけるためのもの。

 TPPの前身は小さな4カ国によるP4協定。それを米国の多国籍企業がハイジャックした。TPPは全ての関税撤廃が目的。例外は基本的にない。あるのは猶予期間だけだ。最初から(聖域を含む)1割に近い部分が例外になるなんてあり得ない。

 軽自動車とがん保険の市場を譲っても、米国は「まだ競争条件が対等ではない」と言う。どこまで身ぐるみ剥がす気なのか。米国企業の「対等な競争条件」は名目で、要するに「市場をよこせ」だ。

 米国のTPP交渉官の1人は、遺伝子組み換え(GM)作物の種子を作っている多国籍企業モンサント社の前ロビイストが務めている。米国が科学的に安全だと認めた物にGMと表示するのはやめるよう求められている。消費者は選択の余地を失い、GM食品がさらに広がる。

 人の命や健康よりも「俺をもうけさせろ」という人が増えている。TPPが締結すれば地元の産業を振興するための政策が、自由な市場を阻害するとして全部駄目になる。ISD条項(投資家対国家間の紛争解決条項)で提訴してやめさせようとしてくる。カナダもメキシコも北米自由貿易協定(NAFTA)のISD条項でつぶされた。NAFTAのISD訴訟で勝っているのは米国企業だけ。

 農業は本当に国内総生産(GDP)の1.5%なのか。農業はまさに国民の命を守る、国土を守る、産業の基礎。北海道の努力が国民の命を守っている。輸出は大事だが、輸出が目いっぱい伸びてもGDPの11%。日本は実は内需国だ。

 多くの人が幸せになる(TPPとは別の)経済連携を日本がリードしなければ。踏みとどまって世界を守れるのか。巨大企業の片棒をかついで世界をとんでもない方向に向かわせるのか、岐路を迎えている。

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