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十勝毎日新聞社ニュース

TPP影響額試算へ 大学教員の会が現地調査

2013年05月15日 14時08分

 環太平洋連携協定(TPP)に反対する大学教員897人で組織する「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」(呼び掛け人・醍醐聰東大名誉教授ら17人)が委託した試算作業チームは14〜16の3日間、独自に行うTPP影響額試算のための調査を十勝管内で行っている。農業関連産業が多い十勝の事例なども踏まえた試算結果を今月下旬にも発表する。

十勝での調査の意義を語る醍醐氏(金野和彦撮影)

 同会は3月下旬に組織され、文系、理系問わず全国の大学教員が名を連ねる。政府の影響額試算は不十分と見て、関連産業への影響などを調べている。加工食品など農業関連産業の所得減少などを踏まえて独自に試算する。

 試算作業チームの醍醐氏の他、静岡大名誉教授の土居英二氏、桜美林大専任講師の三好ゆう氏が、13日に道庁(札幌)で道の影響額の算出方法などを調査。14日午前に札幌市内でJA道中央会と意見交換し、同日午後に帯広市役所、農産物輸送の割合が高い十勝地区トラック協会を訪問。15日にはJA士幌町やJAめむろ、農業関連産業の日本甜菜製糖芽室製糖所などを訪れた。

所得減、輪作も加味 地域実態反映し今月発表
醍醐東大名誉教授
 TPP影響試算作業チームの北海道現地調査をしている東大名誉教授の醍醐聰氏(67)は14日午後、十勝毎日新聞社を訪れ、インタビューに応じた。政府が発表した影響額を独自に再試算する意味や、十勝を調査地とした理由などを聞いた。

 −なぜ再試算を。
 生産額ベースの影響額試算はあるが、所得や財政、税収ベースにどう影響するのかが出ていない。生産が縮小すると、所得が減少し消費が縮小する「跳ね返り効果」としての生産縮小があるだろう。国全体以外にも都道府県ごとにどう影響を受けるのかを見なければならない。雇用者の所得が減ると消費が減り、地方税収入が減ると考えられる。全国ベースで試算すると隠れた部分があるので都道府県ごとに試算し今月中に発表したい。

 −北海道や十勝を調査しての感想は。
 どこに行っても話に出るのは「輪作」のことだ。重要品目(自民党が示す米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物など5品目)だけが影響を受けるわけではない。1品目でもダメになると輪作の他の品目も影響を受ける。そういうのが(国の)試算に入っていない。全国的には当たり前でないことがここでは当たり前で、足を運んで良かった。十勝地区トラック協会でも輪作のことを話していたのが印象的だ。関連産業が多く、日本で一番影響が大きいのはここ(十勝)だ。

 北海道の畑作農家で想定されるのは野菜への転換と聞く。野菜が過剰になると値崩れが起きる。野菜にも影響する。

 −TPP交渉には7月下旬にも参加しそうだ。政府への危惧は。
 日米の協議で政府が発表した内容で見えてきたことがある。例えば、「スナップ・バック条項」があることが日本政府の発表にはなかった。これは、日本車の関税を撤廃しても自動車関税の復活ができるということだ。日本の交渉力の無さを米国側からさらされた。米国の発表に急配便や政府調達、知的財産、競争政策が盛り込まれているのは、米国からすれば攻めどころだからだ。

 TPPは条約なので国会の批准があるが、日米2国間の中で決まったものに法改正が必要でないものなら国会を経ることなく、国内の規制緩和や規制撤廃になるので注意しなければならない。

 <だいご・さとし> 1946年、兵庫県生まれ。京大大学院経済学研究科博士号取得。東大経済学部教授、東大大学院経済学研究科教授、2010年に定年退職した。専門分野は財務会計論。

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