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十勝毎日新聞社ニュース

燃料高…しけを行くサケマス漁

2013年04月24日 13時55分

 【広尾】脂の乗った高級シロサケ「トキシラズ」を狙い、広尾に春を呼ぶサケマス流し網漁。十勝港では20日に第1陣の1隻が出漁、残る5隻も5月初旬の出港に向けて準備が着々と進む。例年なら活気にあふれる時期。ただ、今年は燃料高、漁業協力費の実質増、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加など不安要素が山積し、いつになく港の雰囲気を重くしている。

サケマス漁の準備が進む十勝港。燃料高などで重い雰囲気が港を覆う

 「一昔前は、この時期になれば岸壁に着けられない船もあったのに…」。停泊する漁船もまばらな十勝港漁港区。5月1日の出漁に向け、漁船への網の積み込みなどを進める漁業者の1人はつぶやく。

円安重なり
 200カイリ規制以前、同港では約70隻が着漁したサケマス流し網漁も、年々漁船数が減少し、今年は昨年から3隻減の6隻。休漁船の多くは燃料高による経費倒れを懸念し、出漁を見合わせた。「1回、漁に出れば、軽油をドラム缶で22〜23本は消費する。以前は1万円台半ばだった1本の価格も今は2万円」と、漁業者はため息をつく。

 原油価格は昨年9月から高止まりし、年末からは急激な円安に見舞われるダブルパンチに。全漁連は、現在の原油価格水準のまま円安が110円を超えるまで進めば、国内の全漁船が一斉休漁した2008年の価格に迫ると予測。既に全国の小型いか釣り漁船約4000隻が27、28日の休漁を決めた他、「国に漁業者の窮状を訴える大規模集会も検討している」(全漁連)という。

交渉負け?
 日ロ漁業交渉で、今年は漁獲量の上限が撤廃され、代わりに漁獲量に応じて設定されていた漁業協力費が3億7184万円に固定されたことも、漁業者には痛しかゆしだ。捕れるだけ捕れるのは朗報。一方、今年は道内全体で着漁する船が昨年比10隻減の61隻で、協力費に対する1隻当たりの負担もそれだけ増える。

 漁業関係者の1人は「3億7184万円は、昨年の交渉で漁獲量上限まで捕った場合の金額と同じ。この数年、不漁続きで、交渉はロシア側の思惑通りだったのでは」とする。昨年、実際に日本がロシアに支払った協力費は3億2300万円で、漁獲量の下限水準だった。

頼みの大漁
 さらに、近年の魚価安傾向も不安要因。特にサケ類は東日本大震災での東北地方の漁業施設被災後、チリ産の養殖ものが大量に流入し、国産品が値崩れを起こす状況が続いている。

 広尾漁協は「漁業者の自助努力では克服できない外的なマイナス要因が続いている。この上、さらにTPPとなれば、地域漁業は成り立たない」と危機感を強める。目前に迫る出漁を前に、漁業者は「大漁を期待するしかない。多くの皆さんにトキシラズを味わってもらえれば」と話す。

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