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十勝毎日新聞社ニュース

例外なければ撤退を 管内政界 高まる危惧

2013年03月16日 14時43分

 安倍首相のTPP交渉参加表明に、管内政党関係者からも反発の声が上がった。昨年末の衆院選で「TPP断固反対」を掲げて当選した地元国会議員からはあいまいな影響試算の根拠を問い、「なし崩し」の交渉入りを懸念する声が上がる一方、野党からも与党の「公約違反」を問う指摘が相次いだ。

 自民党の清水誠一衆院議員は「試算は根拠が明らかでない。自民党決議の『聖域(農林水産分野の重要5品目など)』が、交渉入り段階で除外できなければ参加に反対していく姿勢は変わらない」と強調。半面、公約との整合性については「14日の段階で首相に判断を一任していたのは確か」と答えるにとどめた。連立与党を組む公明党の大石清一十勝総支部長は「交渉経過をチェックし、北海道農業の重要性を訴えていくことが必要。政府は情報提供を」と求めた。

 選挙でTPP阻止を掲げたのは新党大地の石川知裕衆院議員も同様。「有権者には申し訳ない気持ちでいっぱいだ」とした上で、「どう十勝の産業が維持できるのか。輪作の大切さなども訴えつつ、輸出の体制を整えていくことも大事。対策を取らないままの交渉入りは危険だ」と危惧する。民主党帯広の三津丈夫代表は「安倍首相の言う道筋が果たしてその通りにいくか疑問だ。日米だけの協議がすべてではなく、極めて不安が大きい」と指摘した。

 「国民、経済、食料主権を失うもので、国の形を変えてしまう行為。公約違反で断固反対」と言い切るのは共産党十勝地区委員会の佐藤糸江委員長。「参加を撤回するまで全力で戦う」と力を込めた。

 社民党十勝支部連合の高橋利勝代表は「遅く参加する国が条件を付けてやれるのか。まず無理で交渉自体に参加すべきでない」と語った。

 他党と一線を画するのが、TPPに参加して条件交渉すべきと主張してきたみんなの党。大塚徹帯広市第1支部長は「総理の決断を歓迎する」と話した。

地場企業対策や食の安全も
TPP対象は21分野

 TPPは21分野に及ぶ内容となっている。「農業対製造業」の構図で語られがちで関税が注目されるが、それらは協定内容の1分野にすぎない。

 関税は即時撤廃が基本だ。公共工事などの発注に関わる「政府調達」の基準では、地元企業優先などの政策の可否が議論される。「投資」分野では企業が相手国との間で差別を受け不利益な事案を訴えることができるISD条項(投資家対国家の紛争解決)がある。道が独自に定める条例や、国内優先の法律が投資の障壁になると判断されれば、賠償金を支払うことになる。

 食品の安全基準に関しては「貿易円滑化」や「衛生植物検疫」が議論の舞台になる。農薬の残留基準や食品添加物の基準、遺伝子組み換え食品に関わる事項などだ。遺伝子組み換え作物の表示が日本では義務化されているが、「貿易の技術的障害」としても議論に上る可能性がある。

 混合診療については患者の経済力で受けられる医療内容に差が出る恐れがあるとして日本は全面的には認めていない。「越境サービス」では保険診療と保険外診療の混合診療の拡大がテーマに入る。国は国民皆保険制度を守るとしているが、交渉参加国から企業に不利益と見なされれば制度そのものの廃止もあり得る。(関坂典生)

交渉参加
十勝各分野が反発

 環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加表明を受けて、農業を基幹産業とする十勝では農業と関連産業はもちろん、十勝の市場縮小が懸念される経済界、雇用者の減少が試算されている労働団体からも反発の声が相次いだ。関税交渉だけでなく幅広い分野を対象とするため、医療分野の関係者も将来を危ぶんでいる。(TPP取材班)

<運輸>
十勝地区トラック協会 沢本輝之会長
 農業が衰退すれば、運ぶ物がなくなる。農業と関係のない業者はない。輸入に対抗しようと価格を下げれば運送料も厳しくなる。

<金融>
帯広信用金庫 増田正二理事長
 農業や周辺産業の他、帯広信金にもマイナスの影響を与える。将来的には外資系ネットバンクの台頭による影響も懸念している。

<医療>
帯広市医師会 堀修司会長
 TPPで国民皆保険が揺らぐことも危惧される。十勝は農業が基幹。産業が打撃を受ければ地域医療も大きな影響を受けかねない。

<農業機械>
十勝農業機械協議会 山田政功会長
 農業が衰退すると商売にならず、農業機械業界が激変する。農家の購買意欲が落ちると、生産性の高い最新機械の導入も進まない。

<豆類>
北海道東部農産物移輸出協同組合 梶原雅仁理事長
 安い外国産の豆が入れば、国産の消費が少なくなり豆の作付けが減る。畑作の輪作が回らなくなると、産地の問屋も大変だ。

<商店街>
帯広市商店街振興組合連合会 夷石行夫理事長
 地元の小売店や飲食店にとって、農業が消費に果たしてきた役割は大きい。農家の収入が落ち込めば、地方経済の衰退につながる。

<建設>
帯広建設業協会 萩原一利会長
 地域の中心産業の農業を支え、安全・安心を守る建設業として大反対。医療や建設業にも影響がある。精査して考え直してほしい。

<消費者>
帯広消費者協会 大西正和専務理事
 影響について国は説明責任を尽くす必要がある。十勝農業が打撃を受ければ消費者にも影響する。地域の基盤を守ることも必要だ。

<乳製品>
十勝ナチュラルチーズ協議会 林克彦会長
 近隣の酪農家からミルクを調達するチーズ工房もある。品質の良いミルクを供給する酪農家が減るとチーズ業界も苦しい。

<漁業>
十勝管内漁協組合長会 茅野優会長
 コンブをはじめ水産業への影響も大きい。漁業者は国からの保護も十分でない。先行きが分からない状態での交渉参加は反対だ。

<雇用>
連合北海道十勝地域協議会 中村和宏会長
 痛んだ雇用の復元が求められる中、十勝では4人に1人が職を失うとの試算もある。関係団体と連携し、反対への運動に力を注ぐ。

<自動車>
日本自動車販売協会連合会帯広支部 鈴木亨副会長
 米国車は以前から関税ゼロで、自動車業界への直接的な影響は限定的とみる。ただ、十勝全体を考えると非常に難しい問題だ。

<生命保険>
帯広生命保険協会 加藤恭一会長
 現時点でどんな交渉が行われているか不明で、(影響は)何とも言えない。TPPについては今後の状況を注視したい。

<製菓>
北海道菓子工業組合十勝支部 田村昇支部長
 砂糖、小麦、乳製品の関税が撤廃されると、国内の生産が減少する。安全で特色ある原材料が使用できなくなり、死活問題だ。

<林業>
十勝地区森林組合振興会 山本良二会長
 かつて林業も関税撤廃の波で打撃を受けた。「聖域」の行方も不透明だ。農業と林業の関係は非常に深く、参加には断固反対だ。

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