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十勝毎日新聞社ニュース

避難生活、のしかかる負担

2013年03月10日 13時53分

 甚大な被害をもたらした東京電力福島第1原発の事故。ここ十勝でも、放射性物質の影響を危惧して避難生活を続けている母子がいる。事故から2年、家族が分散した暮らしは、金銭的にも精神的にも重たい負担としてのしかかっている。

子供の甲状腺検査に関する福島県からの資料を見る越井さん親子

 「次男の幼稚園入園を控えて(帯広に)残るべきか、戻るべきかずっと悩み続けた」。第1原発から約60キロ離れた福島県郡山市から帯広の実家に母子で避難した越井千佳子さん(38)は、苦渋の表情を見せる。夫と離れ離れの生活は2年を迎える。事故当初、「ここにいてほしくない」と避難を勧めた夫は、「もう大丈夫じゃないか」と言う。

 放射線量は下がり、小学校や幼稚園の除染も進むが、通学路や子供の遊び場はどうなのか。戻った際の年間被ばく量も計算し、「低線量被ばくに関するデータがない以上、子供を少しでも不安な場所にいさせたくない」と、もう1年帯広で様子を見ることに決めた。

 夫の食費、帯広への交通費、新たに必要になった子供の防寒具など避難生活の費用はかさむ一方だ。4月から帯広の小学校に入学予定の長男(6)は、けなげにも「パパと一緒に住みたい」とは言わない。

 住み慣れてきた十勝での生活は放射線量を気にせず快適だ。しかし、福島県から送付された子供の甲状腺検査を案内する文書に現実に引き戻される。転勤族の夫は1、2年たてば郡山を離れる。「あともう少し頑張れば先が見えるはず」。越井さんは、自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

事故風化「孤独感じる」
 局地的に放射線量が高い「ホットスポット」と呼ばれる福島県外から避難している母子もいる。千葉県我孫子市から小学5年と幼稚園年長児の子供と帯広に避難した女性(43)は、小さな食卓以外、部屋に家具らしい物はない。二重生活の経済的負担を少しでも減らすためだ。

 事故からしばらくたって、ホットスポットとされる同県柏市、流山市、鎌ケ谷市、松戸市、野田市の母親たちと行政に除染活動を求める署名活動に加わったが、遅々として進まなかった。長男が通う小学校に運動会の自粛を求め、短縮プログラムが組まれたが、ほかの保護者の反対で結局は通常通りに実施された。

 「子供の健康のためにと思っても、受け止め方は人それぞれ。避難をめぐり家族としなくてもいいけんかをしたり。原発事故はいろいろなことで(人間関係を)分断してしまった」

 今、ニュースをにぎわせているのは放射能汚染ではなく、中国の大気汚染問題「PM2.5」だ。女性は「過去にも中国の大気汚染は深刻だったはず。なぜこの時期なのか、ついつい裏を読んでしまう。事故で生活は一変し、知らなくてもいいことも知ってしまった」と話す。女性は、事故が多くの人にとって風化しつつある現実に「孤独を感じる」と言う。

 十勝総合振興局によると、管内の被災避難者受け入れ人数は70人(7日現在)。出身県別では福島が39人と最も多い。岩手、宮城、福島以外からの避難者も12人いる。避難者が1500人と多い札幌市では、民間団体の支援活動が活発で横の結びつきもある程度あるが、十勝では人数の少なさもあり、避難者が孤立するケースが目立つ。

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