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十勝毎日新聞社ニュース

福島第1原発事故 長野県松本市長・菅谷氏に聞く

2011年05月14日 14時25分

 福島第1原発の事故で、放出された放射性物質が体内に入り、がんなどを誘発する「内部被ばく」の影響が危惧されている。1986年に旧ソ連で発生したチェルノブイリ原発事故後、医師として5年半、汚染地域のベラルーシで医療活動を行った菅谷昭氏(67)=長野県松本市長=に、内部被ばくの実態や必要な対策などを聞いた。(池谷智仁)

すげのや・あきら
 1943年長野県生まれ。信州大医学部卒。91年からNGOのチェルノブイリ原発事故の医療支援活動に参加。96年〜2001年、ベラルーシで小児甲状腺がんの外科治療などに従事した。帰国後、長野県衛生部長などを経て04年から現職。医師。

内部被ばく「注意が必要」
 −内部被ばくはなぜ危険なのか。
 食べ物に付着するなどして体内に入った放射性物質は細胞に取り込まれ、常に体内で放射線を出す。セシウム137が30年、ストロンチウム90は29年と半減期(放射能が半分に減る期間)が長く、被ばく状態は継続し、DNAなどを傷つける。

 外部被ばく基準の話題で「エックス線検査1回分」などと言われるが、内部被ばくと一緒にしてはいけない。内部被ばくが人体に及ぼす影響は、具体的には分かっていない。だから注意が必要。チェルノブイリの事実に学ぶことが大切だ。

 −チェルノブイリ事故の被害は。
 15歳未満の子供の甲状腺がんが異常に増えた。事故後5年ほど経過してから目立ち、ベラルーシの高濃度汚染地区では発症率が130倍になった。がんは生活習慣などの要因もあるが、国際原子力機関(IAEA)は子供の甲状腺がんについては放射性物質が原因と認めている。

 事故から25年が経過した現在も免疫機能の低下や呼吸器系の疾患が多い。被ばくした子供が成人して出産を迎え、未熟児や早産が増えている。原発から90キロ離れた地域に住むベラルーシの女性医師が日本で体内残留放射能を検査し、セシウムが多いことが分かった。汚染された食品の摂取が原因と考えられる。汚染された土壌で育った野菜、汚染された牧草を食べた牛のミルクなどから人体に入ってしまう。

危険情報の公開を
 −福島原発の事故で最重点に検討すべきことは。
 事故が起きた以上、日本は汚染国になったと真正面から受け止めないといけない。その上で、子供や妊産婦を守ることを日本全体で考えるべきだ。汚染地域に住むと内部被ばくの危険性が増すので、一定期間、子供を集団で移住させる方法なども必要では。

 福島原発事故は収束していないので公表される放射線量などのデータに注意してほしい。汚染地域とそれ以外の地域は分けて考えて大丈夫。いたずらに怖がることはない。

 −政府に求める対策は。
 1人ひとりが判断できるよう、内部被ばくの危険性や放射性物質の放出状況などの情報を公開するべきだ。土壌汚染状況が分かるマップを定期的・長期的に作成してほしい。汚染地域の住民の健康診断を続け、適切な医療を提供することも大切になる。

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