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十勝毎日新聞社ニュース

十勝の僧侶、被災地を行脚

2011年03月21日 14時35分

 「地震・津波の犠牲者を慰霊したい」との一念で、東日本大震災の被災地を行脚した僧侶が十勝にいる。日蓮宗大正山法華寺(帯広市東5南7)の内山智洋住職(68)だ。「『諸行無常』では片付けられない悲惨な状況だった。そんな状況でも出会った人たちは皆、他人に対して優しく、泰然としていた。すべてを失っていながら、『命があっただけ良かった』と言い、災害に立ち向かっていく気迫が感じられた」と振り返る。

宮城県松島町付近を行脚する内山住職(16日)

「見過ごせぬ」
 内山住職は地震が発生した11日、会議のため東京に居た。交通機関の乱れでその日は羽田空港までたどり着けず、翌日になって帰帯。テレビなどで被害状況が明らかになるにつれ、「宗教家として見過ごすことはできない」と感じたという。

 14日、けさ衣とうちわ太鼓、寝袋を携えて被災地へ。帯広から空路、羽田経由で山形空港に入り、臨時バスを乗り継いで16日に仙台に入った。インターネットで調べておいた宮城県松島町のホテルまでタクシーで行ったところ、電気、ガス、水道が止まったままで、近くで被災した人の避難所と化していた。何もできずに帰ることも覚悟したが、ホテルの人の好意で受け入れてもらい、避難者とともに一夜を明かした。

雪舞う海沿いで
 ホテルの人の案内で、16、17の両日、松島町から被害の大きかった東松島市奥松島方面の海岸近くを行脚。所々で交通規制や通行止めがあったが、僧侶ということで通行が許され、自衛隊が行方不明者や遺体の捜索活動を行っている最前線まで行った。

 雪が舞う中、太鼓を打ち鳴らし、読経を続けた。「破壊し尽くされた現場、がれきと見分けがつかないようなご遺体を前に、虚脱感に襲われそうになりながらも、自分は坊主だと奮い立たせて、全身全霊あらん限りの声で読経してきた」

少しでも届けば
 17日夕方に仙台を後にし、19日に帯広に帰ってきた。内山住職は「現地では『お経を上げに来てくれたお坊さんは初めて』と感謝されたが、あれほどの犠牲者なので、どれだけ届いたか分からない」と顔を曇らせる。「被害に遭った人たちが絶望し、力尽きることがないよう、息の長い支援を続けることが必要」と訴えている。

 同寺では募金箱を置いて義援金を募っているほか、チャリティーバザーの開催も検討している。

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