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十勝毎日新聞社ニュース

日高山系3人死亡 遺族ら悲しみの対面

2010年08月19日 14時43分

 日高山系・歴舟川上流の中ノ川で野営していた東京理科大学ワンダーフォーゲル部の4人が鉄砲水に流され、3人が行方不明となった山岳遭難事故で、道警ヘリが18日午前に収容した3遺体は、不明の学生であることが同日午後、確認された。遺族が遺体安置所となった大樹町立勤労者センターを訪れ、悲しみの対面を果たした。

安置場所の大樹町立勤労者センターを出る東京理科大生のひつぎ 

 日高山系・歴舟川上流の中ノ川で野営していた東京理科大学ワンダーフォーゲル部の4人が鉄砲水に流され、3人が行方不明となった山岳遭難事故で、道警ヘリが18日午前に収容した3遺体は、不明の学生であることが同日午後、確認された。遺族が遺体安置所となった大樹町立勤労者センターを訪れ、悲しみの対面を果たした。

 亡くなったのは同大3年宮城島久紀さん(20)=千葉県市川市=、同2年荒木悠児さん(21)=埼玉県上尾市=、同1年神野博司さん(18)=千葉県柏市。

 同大4年、小池真紀夫さん(23)=千葉県印西市=は自力下山した。小池さんは19日午後にも、広尾町立国保病院を退院する。退院後、広尾署が詳しい事情を聴く予定。

 3人の遺族は18日午後2時ごろ同センターに到着。変わり果てた姿と対面し、身元を確認した。

 関係者によると、勤労者センター内には遺体を安置する1室と、遺族の控室1室が設けられた。遺族は特に取り乱した様子はなく、目元をハンカチで押さえる女性の姿が見られたという。岩場の沢を流されたためか、遺体の損傷が激しく、遺族からは「もう一度体を洗ってあげたい」「早く火葬してあげたい」などの悲痛な声が上がっていた、という。

 2家族は帯広で火葬、1家族は小樽での火葬を選んだとみられる。遺族は午後4時半ごろまでにひつぎとともに悲劇の地をあとにした。

 この遭難では、小池さんの通報を受け、道警が18日早朝から、ヘリコプターで現場付近を捜索し、午前8時20分までに同川沿いで男性3人を収容。同センターに移し、同9時10分までに全員の死亡を確認した。死因はいずれも水死。

現場判断に疑問の声
 またしても十勝の山で多くの命が奪われた。トムラウシ山遭難事故の悲しい記憶の消えないうちの惨事。近年悪天候などが原因の山岳遭難は全国的にも多発傾向で、登山関係者らは気象など含め不測の事態に対応できる備えの必要を訴えている。

 「雨天時の沢の近くは危ないというのは登山者の心得」−。複数の山岳経験者は、東京理科大ワンダーフォーゲル部の4人が、沢のほとりにビバーク地点を選んだ判断に疑問を示す。

 9日に中札内村方面から入山し、日高山系を縦走した4人は15日夕、歴舟川上流部の支六の沢川に到着した。天候悪化もあってすでに日程から2日遅れていた。

 捜索関係者の1人は「4人が現地に到着したときは暗くキャンプ場所を探すことが難しかったという。ビバーク地点は“やや小高く、増水しても中州の小島のようになるだろう”と考えたようだ」とあかす。だが山岳系出版社の編集者の1人は「地形図を読み込めば増水レベルの推測はできる。一般論だが、登山人口の減少でどの学生サークルも部員が減っており、先輩から後輩へ山岳に関するノウハウが伝わりにくくなっているのではないか」と話す。

 一方、4人が事故当時の気象状況をどの程度把握できていたかを指摘する声もある。

 帯広測候所によると、同日も現場付近は夕方から本格的な雨に見舞われ、一日の降水量は約60ミリに達したと見られている。

 気象予報会社「メテオテックラボ」(川崎市)の気象予報士で山岳気象に詳しい猪熊隆之さんは「昨年のトムラウシ遭難事故のときも同じだが、今回も予測不能な異常気象ということではなかった」と分析する。この時期は沿海州に低気圧が進み、気象ラジオでも天候悪化を伝えていたという。

 4人が事故にあった支六の沢川上二股は、登山届にも記載された予定どおりの野営地。ただ、日々の天候変化までは、事前の予定には書き込むことはできない。

 日本山岳協会は「どれだけ登山経験が豊富でも、自然の力にはかなわない。自分の技量を見極めるとともに、山の条件を十分把握する臨機応変さも重要だ」と指摘する。自身も登山経験のある猪熊さんは「予測不能なことが起きるのが山だが、きちんと準備することで、“予測不能”を“想定範囲”にすることは十分可能だ」と指摘する。

学生3人に黙とう、冥福祈る

日高山系で起きた山岳事故犠牲者の冥福を祈り、黙とうする参加者

 十勝地方山岳遭難防止対策協議会主催の「安全登山講習会」は18日午後7時、十勝合同庁舎で開かれ、冒頭で約60人の出席者が歴舟川上流の中ノ川で死亡した東京理科大の学生3人に黙とうし、冥福を祈った。

 同講習会は昨年7月にトムラウシ山で登山ツアー客ら9人が犠牲になった山岳遭難事故をきっかけに始まり、今回が2回目。松村博宣地域政策部長があいさつし、「今夏は日高山系で遭難が続いており、歴舟川で痛ましい事故も発生している。十分な技量と体力に合った無理のない計画で、楽しく安全な登山を」と呼びかけた。

 講演では北海道山岳ガイド協会の大橋政樹理事が、体力の個人差の激しい中高年が登山を楽しむ際の注意点や転倒・転落・滑落の防止策、水分補給の重要性やリーダーの役割などを説明。大橋理事に続き、十勝山岳連盟の斉藤邦明理事長が登山の持ち物や装備を紹介した。

 登山歴4年という上士幌町の公務員、片山青澄さん(26)と勝丸祐美子さん(27)は「一度しっかり勉強したいと初めて参加した。『登りたい』という意識ばかりでなく、体調を見ながら無理をしないことが大切なんだと感じた。(事故もあったので)天候にも気をつけたい」と話していた。

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