十勝毎日新聞社ニュース
帯広の未来へ 論戦熱く OCTV帯広市長選討論会
2010年03月29日 15時33分
28日に行われたOCTVの帯広市長選討論会では、米沢則寿、上野敏郎の両氏が、それぞれの公約や持論を展開した。討論会の要旨を紹介する。(敬称略)

上野敏郎氏

米沢則寿氏
農業を軸に企業誘致 上野氏
◇雇用対策
−雇用不安を解消する施策をどう進めるのか。
上野 雇用の確保はまちづくりの最重要課題。高校生の就職状況が悪いのは日本の景気対策が少し遅れている。帯広という地方行政にあっては国、道、市の制度を周知徹底し、上手に組み合わせることが雇用促進につながる。
米沢 基本は地方を元気にすること。明日に向けた成長産業など地域を発展させる取り組みをやらないといけない。緊急の雇用対策も並行して行うべき。
−具体的な施策は。
上野 市独自としては短期的だが臨時職員の採用がある。奨励金制度を創設したり、厚生労働省にも(同様の制度が)あるので、そういう制度を上手に使うことを企業に紹介する。ハローワークの情報を企業に周知することで不安材料は消える。
米沢 市の立場でできることは臨時職員としての短期雇用を考えたり、新規採用の中で高校生の枠を増やすことがあるかと思う。人材のマッチングをどういう形で、どうやるのか、ワンストップ雇用相談などの充実を考える。
−行政が手を差し伸べるべき軸が1本必要では。
上野 一般的には企業誘致による雇用確保。農業を中軸とした企業誘致、付加価値を高めていくための企業誘致など、焦点を絞った雇用の場を新しくつくるべきだと考えている。
米沢 地元の中小企業が元気にならないと。市は中小企業振興基本条例をつくっているし、産業振興ビジョンの取り組みも聞いている。中小企業者と行政の協働の取り組みとして、日本では先駆け。この辺を参考にし、今後のビジョンをつくる。
−新産業創出には時間がかかるが。
上野 地元企業に仕事を提供することを行政は真剣に考える必要がある。官がやっていることで民ができることは官はやらない−という基本方針で、新しい仕事を民間に提供する。
米沢 (公約に掲げた)フードバレーとかち構想のベースは食、農業。これらには十勝が優位性を持っている。全くないところに物をつくるのではなく、今ある農業の周辺、食料基地という発想の中で、見方を変えた新しいビジネスの取り組みになる。今日種をまかないと明日もない。(構想は)考え方の核に据えてやっていく。
収支バランス重視 米沢氏
市の職員1200人台に 上野氏
◇財政・人口対策
−2008年度の資料によると市民1人当たりの市債残高(借金)が57万円なのに対し基金(貯金)は3万円。財政問題をどう考えるのか。
上野 市の一般会計予算は10年間で100億円減ったが、これに見合った行政運営、市役所のスリム化には反省が残る。砂川市長は10年間で市職員数を1700人台から1400人台に減らした。しかし、苫小牧市のように市民150人に対し職員1人の割合が望ましく、1200人台がふさわしいと考える。そこから新しい財源を生み出したい。職員定数は退職者の不補充という形で見直す。
米沢 財政は「入り」と「出」の両方の問題。支出は抑えなければならないが、収入の部分を増やすよう将来に向けた投資をしなければ、縮小傾向になってしまう。民間企業の連結決算のように、市の各種財政を把握して入りと出の両方のバランスを考えたい。
−税収に関係する人口対策をどう進めるのか。
上野 近隣町村への流出を止められないでいる。(市内には)整備済みの未利用地が300ヘクタールあり、住宅地にすると1万8000人住める。使い勝手の良い制度を持ち込み、帯広に住んでもらう。
米沢 社会減には経済や雇用対策、自然減については少子化対策など、人口政策は総合政策の問題で特効薬はない。幅広い施策が必要だ。地域を元気にするような産業政策、子育て支援などで街を魅力的にするしかない。目的意識を持っていろいろな政策を実施したい。
◇学校教育
−帯広・十勝の学力をどうしていくのか。
上野 学力低下は学校教育だけではなく、地域と学校との関係の希薄化も要因。学校は「地域の文化センター」ととらえるべき。加えて基礎学力は大切という認識を互いに持ち、スタートラインの少人数化で指導力を徹底する。小学校1年生の30人以下学級を実現したい。
米沢 教育の基本は学力だけではなく、自ら考え、社会で自立する力を身に付けること。バランスが取れた人づくりに向け、学校だけではなく地域、家庭が一体となり子供を育てる場をつくりたい。(新入学など)新しいステージには特別なケアが求められ、少人数学級も必要だ。
−帯広の教育行政はどうあるべきか。
上野 自分の子供の経験から、小学6年生から中学1年生になる時の心境を大人、親、教師は十分知るべき。学校教育には大人が子供の心理を真正面に見ることが大事で、さまざまな声を抜きにして解決策は得られない。互いの目線を持ち込んだ学校教育が必要だ。
米沢 教師には子供がより分かる指導力を持ってもらうことが必要。環境も変わった。家庭、教師、子供とのコミュニケーションを従来と変えることも求められている。
◇観光
−帯広の観光拠点、市の観光については。
上野 十勝という視点、食と農業というキーワードが大事。オール十勝でたくさんの人に来てもらう戦略が必要だ。1泊2日、2泊3日の宿泊型コースを帯広が中心になってつくる。帯広に泊まってもらえるようになれば、帯広の街中の観光に結び付けるいろんな仕掛けが出てくる。十勝一周マラソンや「十勝五輪ピック」、十勝川和太鼓フェスティバルなどを仕掛けたい。
米沢 帯広を離れ、外から故郷を見ると、PRが足りない感じがする。魅力はあるのに、なぜ観光がうまくいかないのかという素朴な疑問があった。B級グルメを扱ったテレビ番組で豚丼が全国3位になった。飛行機に乗っても行きたいという物がある。豚丼に限らず、十勝全体の魅力をどうPRしていくべきかという考え方が重要だと思う。
◇帯広こう変わる
−自身が市長になったら帯広はどう変わるのか。
上野 「まちづくりの基本が変わる」「市役所が変わる」「十勝・帯広が変わる」−。一番は市役所。約800もの事業を完全に見直し、民間でできるものは民間がやって透明度の高い運営をする。市役所の仕事の内容が変わる。
米沢 「生活が変わる」「地域が変わる」「市役所が変わる」−。地域と生活というのは福祉と暮らしであり、安全安心な福祉の街をつくる。待機者が多い特別養護老人ホームなど、順番を付けるのならここが一番大事だ。
位置付け議論再考 米沢氏
楽しみ方周知する 上野氏
◇ばんえい競馬
−ばんえい競馬については、どう考えるか。
上野 ばんえい競馬は一つの馬文化の観点から、できる限り存続させるべき。ただ競馬だけが馬文化ではない。ばんえい競馬を広く知ってもらい、その楽しみ方を市民、十勝の住民も実感できることが長く維持する方法。その道を探りたい。
米沢 ばんえい競馬は、世界でここだけ。残さなければいけないという観点から問題になっている。一方では早急に結論が出る問題ではないと思っている。違った角度の問題が一つのテーブルで議論されている。馬文化は残さないといけない。何らかの解決策をこれから皆さんと議論しないといけない。
−市民に対し選挙で「(ばんえいを)どうする」と示していくべきでは。
上野 いわゆるギャンブルというとらえ方をした場合、赤字続きでは継続に関し市民理解は得られにくい。そのときは今のやり方がよいのかどうか、検討する必要がある。どんなに赤字になっても存続すべきということは、市民理解を得ることにつながらないと思う。競馬のみを取り上げてばんえいを語ることは避けるべき。
米沢 新しいコンセプトで帯広のまちづくりをやっていくときに、ばんえい、馬文化をどう位置付け、どう残していくか。まちの設計コンセプトの中で、経費を要しても残していくのか、いやそうではないと、議論が進むと思う。これからの帯広をどういうものにしたいのか、この中でばんえいも考えた方がよい。ばんえい競馬だけを真ん中に置いて議論すると、なかなかほどけない。
◇関連動画
OCTV市長選討論会
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