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杉森26位、土井30位 スピードスケート男子1500

2010年02月21日 13時54分

バンクーバー冬季五輪は20日(日本時間21日)、スピードスケート男子1500メートルが行われ、杉森輝大(吉羽木材−明大、白樺学園高出)は1分49秒19で26位、土井槙悟(開西病院)は30位。

重圧克服し笑顔
土井 初舞台に感謝

 「感謝の気持ちを心の中にしまい込んで、今日は4年間頑張ってきた自分のために滑った」。序盤から積極的に飛ばすレースを見せた土井槙悟(開西病院)が晴れ晴れとした笑顔を見せた。「僕の場合は思いが強すぎるとプレッシャーになってしまうから」。何度も重圧に押しつぶされてきた男が、解き放たれたように五輪のレースを味わった。

 初舞台のスタートライン、いきなり川原正行コーチ(開西病院監督)が手にするスケッチブックの『リラックス』の文字が目に飛び込んだ。まだスタートも切っていないのに「先生らしいな」と心の中で苦笑した。300メートルの通過は23秒61、速くて驚いたが余裕はあった。観衆の声もはっきり聞こえた。最後は『行ける』の文字が見えた。「最後まで滑り切れた。納得のレース」と悔いはない。

 白樺学園高2年時の2001年、世界ジュニア選手権で総合優勝した時、1歳年下のシャニー・デービス(米国)ははるか下位にいた。恵まれた体格に秘めたパワー、その実力は自他ともに認めていた。しかし肝心な場面でプレッシャーに負け続けてきた。練習での滑りがなかなか本番で出せない土井を、同高の故坂井俊行監督は「別人28号だ」と評したこともあった。

 4年前は自ら団体追い抜きの出場枠を獲得しながら、五輪は代表落ち。「このままでは終われない」。だが大学を卒業した男子長距離選手の受け皿などどこにもなかった。実家の農業を手伝いながら競技を続けることも考えた時、川原監督から開西病院の旗揚げに誘われた。挫折を繰り返すたびに恩師に励まされ、導かれ、心の弱さを克服してたどり着いた五輪だ。

 コーチングゾーンの川原監督とタッチをかわした。自然と笑みがこぼれた。レース前にしまった思いが、あふれてきた。「4年間多くの人に支えられて、仲間と刺激し合ってここに来られて僕は幸せ。川原先生についてきてよかった」と熱いものがこみ上げた胸の内を言葉にした。(古川雄介)

世界との差 実感
杉森 「まだ力不足」

 「まだまだ力不足だった。最低でも1分47秒台を出したかった」。男子中距離のエースとして臨んだ2度目の五輪、レースを終えた杉森輝大(吉羽木材−明大、白樺学園高出)はうつむき、氷を見詰めた。長野の選考会よりも2秒近く遅いフィニッシュタイム。世界のトップと距離がある種目だからこそ、日本の第一人者として食らいつきたかった。悔しさだけがにじんだ。

 300メートルのラップが23秒98、2周目も26秒45と悪くはない。「予定通り」と思った。ところが700メートルすぎから失速し、ラスト1周は30秒70と踏ん張れなかった。「最後はバタバタしてしまった。コーナーから直線にかけてのポイントポイントで失敗していた」。スピードの出ないリンクは確かに日本人に厳しい。だが自分のすべてを出し切った満足感はなかった。

 トリノ五輪後、山梨県山中湖村の吉羽木材に所属が決まり、4年後を目指してきた。08、09年と夏場に渡米、同国ナショナルチームに弟子入りして技術と精神面を磨いた。「中距離で世界に通用したい」。華やかな短距離と違いスポットを浴びることはほとんどない。だが世界との差を自分が詰める、そんな使命感が体を突き動かした。

 高い壁への挑戦を支えたのが、幼いころから兄のように慕ってきた清水宏保の存在だった。世界の頂点を知る清水と練習をともにし、「スケートを1から教えてもらった。清水さんがいなかったらここまでにはなれなかった」。その清水は今五輪代表から漏れ、現役に別れを告げることを決意した。かわいがられた分だけ、代わりに自分が力をぶつけるつもりだった。

 トリノは24位、そして今回は26位。どちらも日本勢最高だが、世界との距離は縮まらなかった。「スピードも後半も日本勢は足りない。技術面ももっと研究しないと世界と戦えない」。自らがもう一度挑むのかもまだ分からない。「後については五輪が終わってからしっかり考えたい。パシュートもあるから」。残る団体追い抜きに気持ちを切り替えようと必死だった。(古川雄介)

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