十勝毎日新聞社ニュース
トムラウシ遭難 「本当の疑問 解消されてない」
本州からの中高年の登山ツアー客ら8人が凍死した大雪山系トムラウシ山(2141メートル)での遭難事故(7月16日)で、日本山岳ガイド協会(東京)の特別委員会が7日にまとめた中間報告では、ガイドの力量不足、危機管理体制の不備などが指摘された。十勝の登山関係者、ツアーの生還者からは改めてツアー会社の責任を問う声が上がる一方、報告書の内容への疑問も指摘されている。(池谷智仁、植木康則)

中間報告で、ほぼ全員のツアー客が低体温症になったと指摘されたトムラウシ山の北沼付近(8月16日撮影)
強行、救援要請遅れ…なぜ
山岳関係者、生還者「会社の責任大きい」
十勝山岳連盟の太田紘文会長(68)は「わたしも、トムラウシ山で何度も同じような条件に遭ったことがある。あの時点でガイドに引き返すという判断ができていれば、事故は完全に防げた。判断ミスは大きい」と委員会の指摘に一定の理解を示した。その上で「予備日を設定されていないことで、会社からの無言のプレッシャーもあったのではないか」と余裕のない行程が判断を誤らせた点で、会社の危機管理体制にも改めて疑問を呈した。
生存者の1人、戸田新介さん(66)=愛知県在住=は「制約あるツアー登山の中では、ガイドに安全の一部を確保してもらう代わりに行動の自由がなくなる。自己責任ということが一部で言われているが、参加者に決定権はなく、そういう点でガイドの力量に問題はあったと思う」と報告書の一部指摘を認めるとともに「最も大きいのは、そういったガイドを雇い、危機管理の教育も行っていなかった会社の責任だと思っている」と述べた。
また、ツアー客から出たという「出発を見送った方が良い」という発言や、稜線(りょうせん)に出た地点での「引き返した方が良い」との意見、さらにビバークしたガイドが、なぜすぐに救援を要請しなかったのかといった疑問点が何も解消されていない事実を指摘。「本当に聞きたいことで、会社に都合の悪いことが書かれていない。調査特別委員会の中立性に疑念を抱いている」と強く語った。



