十勝毎日新聞社ニュース
トムラウシ山遭難事故 「避難小屋があれば…」
【新得】北海道大雪山系のトムラウシ山(2141メートル)でツアー登山客ら9人の凍死者を出した遭難事故。出発後の行程には、風雨を避ける避難小屋がなかった。地元のベテランガイドは本州の山に比べ、整備が進んでいないとし、「小屋があれば助かったかもしれない」と話している。
ガイドも必要性指摘 道協会会長
「道内、整備に遅れ」
トムラウシ山では16日、18人(うちガイド3人)のパーティーが悪天候で遭難、翌日に救助されたが、ガイド1人を含む男女8人が凍死した。単独で入山した男性1人も亡くなった。
ツアー客の登山は3日間で計28時間半をかけ、41・5キロを歩き通す日程。16日は避難小屋を早朝出発し、トムラウシ山頂を経て下山する計画だった。晴れた日でも10時間以上かかる12・5キロの難コースで、尾根筋の道は樹木も山小屋もなく、吹きさらしの状態が何時間も続くという。
北海道山岳ガイド協会の川越昭夫会長(72)は「本州の山なら、行程の半日ごとに山小屋があることが多いが、北海道は整備が遅れている」と話す。
16日午前、途中で1人目が低体温症で動けなくなった山頂手前の時点で、「既に険しい岩場などの難所を通過し、引き返すのは無理だった」と推測。先にはキャンプ場があるが、「特別な設備もない原っぱ」という。
川越さんは「寒さをしのぐテントは必要だが、避難小屋があれば全員が助かったかもしれない。雨風を避けて体を温めれば、低体温症も回復が可能だ」と話す。
地元の新得町は、国に避難小屋の新設を求めている。しかし、町職員によると、小屋があると軽装で入山し、遭難が増えるとする、慎重論もあるという。



