十勝毎日新聞
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ミル公碑

写真
子グマが遊んだ恵津美川のほとりに立つ
「ミル公碑」


村民に愛された子グマの物語
 中札内村で国道から道道清水大樹線へ曲がる。200メートルほど進むと、恵津美川の泉橋付近に「ミル公碑」がある。戦後、村内の子供たちに親しまれた子グマをしのぶ石碑だ。

 1949年春、広尾の海岸で母グマとはぐれた子グマが発見された。地元漁師が介抱した後、帯広市内の商店に運ばれ、町の人気者になった。

 両手で瓶を支えて牛乳を飲む姿がかわいらしいため、ミル公と命名された。金もうけに利用しようとする人もいたが、持ち主は拒否。しかし、次第に体は大きくなり、力も強くなる。持ち主はミル公の将来を考え、動物園に引き取ってもらおうとするが、当時の食糧事情から十分な飼育ができないと断られてしまった。結局、アイヌ民族の「クマ送り」にのっとり、昇天させることに。同年9月5日、村内で行われた儀式は5000人の住民が見守った。

 村に住む吉田勇治さん(80)は「ミル公は、昼間は恵津美川で遊んでいたが、夜になると月に向かってほえる。その声が悲しげで、胸を締め付けられる思いでした」と、当時を振り返る。吉田さんは30年後の79年に石碑を建立した。高さ50センチ、幅20センチ、奥行き10センチ。正面には「ミル公」という題字と、子グマの絵が刻まれている。

 はく製になったミル公は、碑の近くにある中札内小学校に保存されている。同校PTAの広報紙名は「ミル公」と名付けられ、紙芝居も作られた。1頭の子グマをめぐる物語は、今も村民の間に引き継がれている。
(中札内・浅井文人)(ルート236編・おわり)(01.11.22)


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