アウトドアって何だろう[6]
ドイツ・アイルランド視察記

観光めぐる行政〜農業と一体化、施設も必要
ロスコモンから約160キロ南に下り、アイルランド第3の都市リムリックのアイリッシュ・ファームハウスホリデー協会を訪ねる。国内の農村宿泊施設の予約受け付け、宣伝活動を行う女性だけの民間団体だ。加盟施設は500余り。宣伝用の百数十ページにわたる冊子には、カラー写真で各施設が詳細に紹介されている。

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自然の中にいるだけで心が落ち着く(写真はドイツ・ベルヒテスガーデン)

同協会は施設と宿泊客の橋渡し役を担うと同時に、各施設に対する調査活動も行い、一定のレベルを保つことにも努めている。予約係のヴィッキー・ネスターさんは「多いときで年間5,000件の予約を受け付けている」という。同様の冊子はドイツ・ベルヒテスガーデンにも存在した。

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ファームインの予約を受け持つヴィッキー・ネスターさん
しかし、対応はあくまで宿泊予約だけ。「アウトドアは宿泊客が個人的に考えること」とはっきりしている。徹底的に情報は発信するが、楽しみ方は個人で考えて−というわけだ。当然すぎることが、新鮮に思える。

ある団員は「日本人は与えられることに慣れ過ぎている」という。確かに提供されたメニューを漫然と経験することは多い。○○を体験させてもらう−式の発想。受け身であることが、さまざまな事態に対応する必要性を忘れさせていないだろうか。

あなたは何がしたいのですか。そのためには何を準備し、どこに行き、どんな手配が必要ですか。万一の事態に対処できますか−。アウトドアはその入り口で、改めて“個の確立”を問いかけている。

駆け足の旅だった。ドイツ、アイルランドの実態をほんの少し垣間見た程度でしかない。釣りをやれば釣果なし。乗馬は緊張で体が固まり、サイクリングではペダルの重さしか覚えていない。それでも、自然の中に身を置くだけで、心は落ち着いていた。

山田英和団長(山田建設工業社長)が持ち掛けた。「今度は十勝で、視察団メンバーが同じようなアウトドア体験をしてみてはどうだろう」。団員に異論はない。帯広・十勝の実情を見つめなければ、今回の視察は完結しないのだから。(社会部=鈴木斉)(おわり)


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