アウトドアって何だろう[4]
ドイツ・アイルランド視察記

250年前の“白壁”に宿〜自然体の気安さ感じる
アイルランド・ロスコモン県で、研修団がアウトドア体験の拠点として選んだ宿泊先は、ストロークスタウンという小さな村の外れにある「チャーチビューハウス」。250年前に建てられたという石造りの白壁が、緑一色の牧草地帯に浮かび上がる。

photo

宿泊先の「チャーチビューハウス」。石造りの白壁が印象的

客室は6室あり、いずれもトイレとバス、シャワーが一応完備している。副団長の松島隆さん(帯広住設社長)が「水回りに問題がある」と専門家の目でチェックした通り、シャワー中に突然、お湯が出なくなるハプニングもあったが、不思議と「こんなものだろう」と割り切ってしまう。

photo

宿泊客の幸せが自分の喜び−と語るハリエット・コックスさん
1泊朝食付きで19ポンド(約3,800円)、夕食は別料金で2,400〜2,800円。オープン期間は4月から10月末までで、経営者のハリエット・コックスさんによると、この間の宿泊収入は約1万5,000ポンド(約300万円)。夫は既に他界し、同居している息子さんの酪農収入を加えて生活しているという。

1964年からファームインを始めたコックスさんは、宿泊客を通じて時代の流れを感じてきた。「以前はほとんどが釣り客で、1週間から10日の滞在が中心だったが、最近は6割が1泊の客。観光名所や施設などを転々とする人が増えた」という。ロスコモン県は今、観光開発に力を入れている。観光化の動きは、長期滞在という“ゆとり”を奪いはじめているのかもしれない。

同ハウスの前では、馬が草をはんでいる。犬と猫が周囲を走り回る。少し先には羊の群れ。客室にはテレビもなく、古い壁を通して隣室の話し声が漏れてくるだけ。「いい所だ」と感じるか、「帰りたい」と思うか。少なくとも、キャンプ場にテレビを持参するような人には耐えられない。 「お客さんがハッピーに過ごせればいい。それが自分の喜びだから」とコックスさんは笑う。物質的には物足りないけれど、“自然体”の気安さがある。こういう場所に身を置くと、自分がどんな人間かみえてくる。(社会部=鈴木斉)


56INDEX