アウトドアって何だろう[1]
ドイツ・アイルランド視察記

観光・ファームイン〜十勝と根本的な違い
余暇時代を迎え、滞在型観光とアウトドアが注目されている。広い土地と自然という“素材”に恵まれた帯広・十勝は、こうした時流の中で大きな可能性を秘めているはずだ。その方向性を探ろうと、帯広市商工業振興教育基金の海外派遣研修団(山田英和団長)が9月22日から12日間、ドイツとアイルランドを視察、ファームインやアウトドアを体験してきた。派遣団の一員として垣間見た現地状況を報告する。(社会部=鈴木斉)

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緑に包まれた宿泊先のゲストハウス「ルガエアレヘン」
バイエルンの乾いた風が体を包む。世界最大のビール祭り「オクトーバー・フェスト」でにぎわうミュンヘンから、高速道路で東に約3時間。ヨットが浮かぶキーム湖を左に、切り立った岩肌が迫る秀峰ヴァッツマン(標高2,713メートル)を右手に眺めながら、最初の訪問地ベルヒテスガーデンに入った。

屋外といえば夜の繁華街に繰り出す程度という、およそアウトドアとは無縁の記者に、ドイツアルプスの剣先のような山並みが覆いかぶさってくる。

ベルヒテスガーデンはドイツ南東端のオーストリア国境近くに位置する国内有数の保養地。アドルフ・ヒトラーもこの地を愛したといい、ケールシュタイン山の頂上近くに今も別荘が残されている。

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パンを手に、派遣団を出迎えるアッシャワーさん夫妻の長男ボルフガン君
面積の半分が国立公園地区で、緑に包まれたケーニッヒ湖には大勢の観光客が訪れる。ハイキングを楽しむ人も多い。2万5,000人の人口が、夏場には2倍に膨れ上がるという一大観光地であり、国立公園管理局のハンス・シュタンガッシンガーさんも「100パーセント観光で生きている地域。どの農家も観光客に部屋を貸している」と説明。「農家で休暇を」の合言葉で村おこしを実践中−との事前情報とは異なり、黙っていても人が集まってくる地域だった。

宿泊先は木々と草地に囲まれたゲストハウス「ルガエアレヘン」。経営者のアッシャワーさん夫妻の話では、年収のほぼ半分が民宿収入で、残りは夫の建具業。妻のマリーサさんと3人の子供たちの温かい出迎えを受け、家庭的な雰囲気に旅の疲れも和らいだが、ファームインとはかなり趣きが異なる。

牧草地をはじめ、この地域では農業が風景を美しく仕立てる手段でしかないとも聞いた。十勝とは根本的に違う姿を見た。


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