勝毎ジャーナル
KACHIMAI
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夫婦別姓

“事実婚”世間の認識薄く

大事なのは入籍でなく家族になること
仕事上は旧姓 変えるのはデメリット

 「籍を入れることが、イコール結婚なのでしょうか。私にとって結婚とは『家族をつくる』こと。彼と籍が一緒かどうかは問題ではありません」。帯広市内の公務員伊藤育子さん(34)は大きなひとみをパチパチさせ、愛くるしい笑顔で言った。現在、4カ月の長男萌林(めぶき)ちゃんの育児のため休職中。職場は違うが、同じく公務員の夫池田亨嘉(ゆきよし)さん(36)とは大学時代の先輩後輩の間柄だ。
 2人は、互いが帯広に戻って就職することになった6年前、入籍しない「事実婚」を選択した。

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「この子が大きくなるまでには夫婦別姓が当たり前の世の中になっていればいいね」と願う伊藤さんと池田さん(写真・川崎想子)

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 埼玉県生まれの伊藤さんは高校生のころ、女性が結婚して姓が変わることに対し、漠然と居心地の悪さを覚えていた。大学で帯広に来てからもその思いを強くし、「理論武装するため」(伊藤さん)、新聞や雑誌、書籍をむさぼり読んだ。いろいろなことが見えてきた。夫婦間で自由に姓を選べる「選択的別姓」が法制化される流れにあることも知った。「私が結婚するころには成立するかな」と信じていた。
 大学2年のとき、池田さんと付き合うようになり、「もしも」と仮定し、自分の考えを正直に伝えた。池田さんは「別にいいじゃん」と一言。気が楽になった。だが、法律は動かなかった。2度も廃案になった。

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 結婚を決めた際、伊藤さんの父親は「お前の考えにはついていけない」と言いながらも、反対はしなかった。池田さんの両親も、周囲も同じ。帯広に来る前の横浜では、職場や友人などに事実婚の“先輩”たちが結構いたので不安もなかった。
 結婚後も特に不都合はない。萌林ちゃんは戸籍は伊藤さん、医療保障(保険証)は池田さんの方に入れた。便宜上、都合が良いからだ。また、住宅購入の際も互いの名義で半額ずつローンを組んだ。
 ただ、伊藤さんは酒の席で職場の上司から「何で池田にならないの。子供がかわいそうだよ」と言われたことがある。「私生児になるから?。関係ないじゃん」と思いながらも、まだ事実婚が世間で認知されていないことを実感した。

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 市内の営業関係の仕事をしている真弓さん=仮名=(26)は2年前に入籍結婚したが、仕事上は旧姓を使っている。「せっかく取引企業に名前を覚えてもらったのに、姓を変えるのは痛手。結婚していると振れ回っているようなもので、面倒くさい」と真弓さん。仕事中は結婚指輪も外している。
 従来、結婚とは式を挙げ、入籍し男性側の姓を名乗ることが当たり前とされた。むしろ「同じ苗字となることで一体感が得られる」などと、あこがれを抱くケースも少なくない。
 男女共同参画社会を目指す市民団体「たねっと」の代表阿部千鶴子さん(60)は「近年は女性の社会進出が進み、結婚後も働く女性が増えており、仕事上、姓が変わることでのデメリットを感じている人は少なくないのでは。戸籍制度は旧来の家長制を引きずるもの」と警鐘を鳴らす。

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 池田・伊藤夫妻は、萌林ちゃんが小学校に上がるまでに別姓が法制化されなければ、自身で姓を選択させようと考えている。「経過はきちんと説明します。また、子供が望んで、理由が明確であれば、今後何回でも家裁へ足を運び、変更手続きするつもり。それが、事実婚を選んだ私たちの義務なのでは」。伊藤さんはこう断言する。(つづく)(佐藤いづみ)(00.6.29)


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