川、次世紀へ(4)

自己責任が基本、自由に遊ばせて


★開かれた川★

自然を生かした整備を

障害者アウトドアクラブ「自遊旅団」団長
池田敬一氏

 近年、川を福祉の場に利用しようとする取り組みが、徐々にだが、始まっている。川は本来、開かれた場であるべきなのだ。障害者アウトドアクラブ「自遊旅団」の団長、池田敬一さん(36)は、全盲ながら五年前からカヌーを始め、川と親しんできた。
 「川では(目が見えなくても)せせらぎの音や、土や水、草のにおいで季節を感じることができる。道路のような障害物はなく、バリアフリーなんですよ。十勝は市街地の近くを川が流れているので、行くのに便利。環境としては恵まれていると思う」

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「自分の責任でアウトドアを楽しみたい」と話す自遊旅団団長の池田敬一さん

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 しかしハンディを抱える人にとり、川との距離は大きいのも現実。「川は危ないから近寄るな」―という周囲の事なかれ主義が、壁として立ちはだかっているのだ。自遊旅団では「自己責任」を基本に、障害者の川下り体験などを実施してきた。タブーを打ち破り、川と接することで、障害者の自立を目指してきた。
 「例えば川下りなら、きちんと保険に加入し、カヌーの編成隊の最前、最後尾に経験のある人を付け、万一の転覆のために予備のカヌーを配置するなど救助態勢を整えている。無謀なことは避けるし、危険があればやめる。自分で考えるのが基本。事故があっても行政に責任の矛先を向けたりしない。だから、自由に遊ばせてほしい」
 危険とどう向き合うかは、九月下旬に帯広を中心に行われた「川での福祉と教育の全国交流会」でも問題になった。ある障害者がガイドヘルパーの支援で川下りに参加しようとしたところ行政側が待ったをかけた。危険を伴う活動にガイドヘルパーは、出せないという言い分だった。行政の役割と当事者責任の線引きが微妙なことを認識した上で、池田さんは語る。
 「日本の現状では、ガイドヘルパーの行動に制限が多く、派遣という考え方が強い。福祉先進地の北欧では、費用を行政が負担してもガイドヘルパーの行動は、障害者が雇用主としての責任を持つ。事故があって行政が捜索しないのは問題だが、心配だからといってたがをはめるのもどうか。海外ではアウトドアプランを練る上での情報サービスに、行政が力を入れている例もある」

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車いすから川下りのボートへ―。自然の川縁は、障害を持つ人に何よりもやさしい=「川での福祉と教育の全国交流会」から

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 また、コンクリートで固めた護岸の段差、河川敷のパークゴルフ場や公園の工作物など、日本の川には障害者を近づけない妨げが多い。十勝川にも、川とのつながりを度外視したような河川敷の整備が見受けられる。
 「かつて十勝川の川下りのために車で乗り入れた河川敷に公園が整備され、出発点を変えざるを得なくなったことがある。河川敷や護岸はできるだけ自然の特徴を生かした形で整備すべき。水際までの車のアクセス路や要所ごとにだれもが川辺に下り立てる環境もほしい。われわれも黙らずに、要望を伝える努力をしなければならない」
 十勝川では一昨年来、だれにでもやさしい「ユニバーサルデザイン」の思想を河川整備に導入する動きが出てきた。重要なのは、ハンディを持った人々の生の声なのかもしれない。
(年間キャンペーン取材班=平野明)(00.12.4)




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