川、次世紀へ(2)

「ごく普通の自然の教室」に


★川に学ぶ★

楽しく、小さな発見が大切

水がきジャンボリー実行委員会指導班長
菊池貞雄氏

photo
「長期的展望で河川環境教育を」と
訴える菊池さん
 水辺の多様な生態系や水自体のいやし効果などから近年、教育フィールドとして川を見直し活用する事例が、全国的に目立ち始めている。建設省が展開している『水辺の楽校』事業もその一つ。十勝管内で整備されている十三カ所のうち、帯広市内だけでも七カ所で設置されている。一自治体にこれだけの数の楽校があるケースは、全国でも珍しいという。

■−−−−−−□

 「『水辺の楽校』は基本的にハード整備が中心。川を使う、川と遊ぶという意識が地域になければせっかく設備があってもだれにも使われない。環境整備の充実が背景にあるからこそ、意義のある楽校事業に向けて実験的な取り組みをしたかった」
 十勝川を基軸として一九九八年から取り組まれている、三泊四日の自然体験イベント「水がきジャンボリーinとかち」。当初から深くかかわってきた、実行委員会指導班長の菊池貞雄さん(43)=北王コンサルタント企画室次長=はスタートの経緯を説明する。
 主たる目的は、川遊びや環境教育のリーダーとなるような人材「水辺のガキ大将」育成。水辺の楽校のモデル的な取り組みとして注目されている。総合的な学習の本格導入が二〇〇二年度と目前に迫り、河川を含め、そのメニューとして環境教育には特に高い関心が寄せられている。

■−−−−−−□

photo
環境教育実践者が集い行動する共通のステージとして今後に
期待がかかる「水がきジャンボリーinとかち」
 「試験勉強ではないのだから、まずは楽しくなくてはだめ。大切なのは『川にどんな生き物がいるのか』『川は汚れていないか』といった小さな発見の積み重ね。なにも大上段に構える必要はない」
 菊池さんは実際に「水がき―」に携わって、その情操教育効果が非常に高いことを実感したそうだ。最初はとにかく人の言うことをきちんと聞けなかったような子供たちでも、日程が進むにつれて周囲への気配りや思いやりの感情が育ってくるのだという。
 「教育のプロではないので具体的に何が有効なんだとは言えない。しかし、自然や生き物に触れながら人とかかわりあうことが、子供たちにとって貴重なすばらしい体験となっていることは、これまでの経験から確信できる」

■−−−−−−□

 ただ、十勝管内では指導のプロフェッショナルの絶対数が、まだまだ少ないのが現状だ。「水がき―」でも学習面での教育効果が十分に行き届かないケースが見られることもあるという。また、リスク管理の上からも大きな課題と言える。
 「川での活動は子供たちにとって楽しい半面、危険な一面も間違いなく潜んでいる。かかわる人たちには、アマチュアから脱却する意識改革が求められるし、誇りを持って取り組めるようにならなければ」
 今年で三回の開催を重ね、十勝の夏の体験イベントとして定着しつつある「水がき―」。実行委員会は、十勝初の道開発庁地域活性化貢献賞にも輝いている。しかし菊池さんは、「通過点」と強調する。
「川の環境教育は二十年サイクル。川の楽しさや怖さを自分の体で学んだ子供たちが、大人になって次世代にそれを継承する。長く続けていくことで初めて『川が放課後に行ってはいけない場所』から『ごく普通の自然の教室』となる日が来るのでは」
(年間キャンペーン取材班=森田匡彦)(00.11.30)




1|2|3456INDEXHOME