| 境界の風景[11] 第1部「心の病をめぐる日常」 |
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「市民の問題として議論しないとこの問題は顕在化しない。異質なものを排除し、嫌いでもとりあえず話してみようともしないという構造から生まれる問題は、いじめなど社会のあらゆる問題に共通すると思う」。帯広協会病院の相談室で、日本PSW(精神科ソーシャルワーカー)協会北海道支部長を務める小栗静雄さんは語った。
結果、日本の精神医療の中で、帯広が1番進んでいると言われてきた。だが施設を建設するときには住民から反対の声が挙がった。それは10年前も現在も変わっていない。「こんなことをやっていたら、いつまでも精神障害者は日陰にいなければならない。市民も行政もこの問題と正面から向き合わない姿勢が歯がゆい」と小栗さんは言う。 「日本全体がそうなんだから、反対の声を挙げる住民の反応も、ある意味では常識的な反応なのかもしれない。でも、精神病院に通院しているのは100人に1人という身近な問題。自分の町内からだって患者は現れるかもしれない。それなのになぜ、もう少し話し合ったり、理解してみようと前向きに思わないのか。異質なものを嫌ったり排除しようとするのは人間の本性として仕方がないが、せめて拒絶する前にイメージだけではなく本当の実態を知ろうとする姿勢があればいいのに…」(小栗さん) 小栗さんは精神障害者の問題を扱うことは街づくりだと思う。障害者への社会的な差別を少しでもなくしていくことは、それだけ一般の社会を良くすることでもあると思っている。だからこそ、ソーシャルワーカーという仕事にライフワークだと思って取り組んできた。 「自分と違う人と共に生きることの大事さを知ってほしい」 それが、十勝の社会を成熟させることなのだと、小栗さんは信じている。(後藤一也)
時代の流れの中で、分裂病患者は軽症化してきているという。どこの国でも精神病の発症率は1%弱。だが「先進国と途上国では病態が変わってくる。分裂病の病態は時代や社会の流れに非常に影響されやすい」(坂井敏夫大江病院長)。 「偏見は残っていても、社会的な環境全体は以前より優しくなっているのか。患者も精神障害ばかりではなく、不眠症や頭痛など軽いうちから通院するようになった」(伊藤哲寛・道立緑ケ丘病院長)
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