「揺れる大学問題」

[上]戸惑い

「公設民営」 うやむや〜論議消化不良一気に噴き出す


「公設民営が本当に不可能なのか。大谷との公私協力がベストなのか。納得できる論議が不十分。ハードルの低い方に流れ、妥協する権利はわれわれにはなく、自分たち、子供たちのためにも、将来に禍根を残したくない。もっと、論議、納得した中で進めるべき」

17日に開かれた十勝大学設置促進期成会の理事会。新大学構想の基本方向(案)として、大谷との「公私協力」を打ち出し、理事会としての決定を求めた市側に対し、かねてから「大谷構想での妥協」を懸念、反発していた理事らを中心に、論議の“消化不良”が一気に噴き上がった。

新大学の設置手法の問題は「国公立」と「公設民営」の論議にさかのぼり、昨年3月末、市大学設置審議会は「公設民営」の学校法人方式の結論を出した。理事会もその基本構想を承認、「公設民営」での「魅力ある大学づくり」を論議するはずだった。

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17日の期成会理事会。市側の「公私協力」の決定提案に理事らが
「論議不足」を指摘。“大谷ありき”の拙速さを印象づける結果に


しかし、大谷から公私協力の要請があった昨年11月以降、理事会論議は、期成会構想と大谷構想との整合性の検証に終始。「公設民営」はうやむやのまま流れた。

「大学の実現」という実務論がある市側にとって、人脈や学生募集などの経営ノウハウ、改組転換による文部省認可の優位性など、大谷との「公私協力」の要請は“渡りに船”。さらに「公設民営」では「公立に近く、市としては財源的負担が大きい。期成会構想の社会学系では文部省の認可も難しい。また、柔軟な対応も困難になる」(市企画部)と強調する。

ただ、仮に「公私協力」が大学実現に“現実的”だとしても、9日の理事会で大谷と期成会構想の整合性の検証結果、大谷のカリキュラム骨子が出されたばかり。次の17日に案を示し、結論を求めるのは余りに拙速。「論議を尽くした」と言えるのか−。ある理事は「これまでの理事会は事務局の説明に対する論議が中心で、理事としての意見を掘り下げていない。(大谷構想の)不安をなくす方向づけもなかった」と論議に対する考え方の違い、市側の“先行”を指摘する。

市側が結論を急いだ背景には、地方拠点都市法に基づく起債期限内の2001年開学に向けたスケジュールがある。今年度、基本計画の策定に着手、99年度に用地取得、文部省の第1次認可申請の手続き−を想定しており、議会に対しても「秋までに一定の方向性を出してもらいたい」としていた。そのためにも17日の理事会、19日の総会で決定し、26日の市議会総文委に一定の方向を示す流れを描いていた。

高橋幹夫市長の公約問題もちらつく。折しも理事会前日の16日、後援会総会の席で、高橋市長は市立病院と大学について「(2期目の任期中に)何とかめどをつけたい」と述べた。「大学が市長選に利用される、“政争の具”にはなってほしくない」とある理事は感じている。

厳しい財政事情、少子化の中で、大学をつくろうとしている帯広・十勝。それだけに「良い大学をつくりたい」との思いは理事会内で一致している。設置手法は引き継ぎ論議されるが、「公設民営」から「公私協力」に乗り換えたやり方のままの理事会継続では、論議は尽くせない。(政経部=橘康隆)


大学設置問題が大詰めを迎えて揺れている。大谷学園構想を推進して実現を図ろうとする帯広市に対し、十勝大学設置促進期成会の内部は賛否両論で割れ、落着点がみえなくなっている。大学問題の焦点に迫った。


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