勝毎ジャーナル
KACHIMAI
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カウボーイ☆スピリッツ

『馬の道』アメリカ視察記
−2−
牛追いに悪戦苦闘


「ハーレル・ランチ」(テキサス州キャラビル町)の「オールド・ウエスタン・アドベンチャー(OWA)」はまだ初日。

視察団員は午前中のトレール(トレッキング)で少しだけ自分の馬に慣れてきた。しかし、オーナーのレオン・ハーレルさんのひとことに、全員が驚いた。「今度は牛追いをやってもらいます」−。牛追いはカウボーイの仕事の“基本中の基本”らしい。

牧場中央の角馬場から2キロほど離れた草原の一角に目指す牛群はいた。数は50頭。「これをみんなで協力して移動させて下さい」−ハーレルさんはいとも簡単に言う。目的地までは約2キロ。途中の道は平たんではない。そして何より、やり方が分からない。団員は一時途方に暮れかけた。

“十勝馬の道チーム”は、乗馬経験が豊富なデューク・向田さん(ノーザン・カウボーイ協会会長)をリーダーに選び、とりあえず10人で牛の群れを取り囲んだ。牛追いの開始だ。

写真2
カウボーイの仕事の基本は牛追い。50頭の牛を相手に奮闘する“十勝馬の道”のカウボーイ、カウガールたち(クリックすると拡大します)

しかし、やはり最初はうまくいかないもの。牛がいきなり予想外の方向に走りだし、メンバーは右往左往。「そっち押さえて」「1頭逃げた。追っ掛けろ」−起伏のある草原を駆け回る団員の姿を、ハーレルさんが遠くで見守っていた。

1時間後、牛の群れは全頭、指示されたさくの中に収まった。ハーレルさんが「グッド・ジョブ(よくやった)」と笑顔でねぎらうと、団員の顔にやっと笑顔が広がった。

これで驚くわけにはいかない。2日目はさらにすごい“冒険”が待っていた。見渡す限り20ヘクタールはあろうかという渓谷に散らばった牛を集めて、3キロ以上先に移動させるのだ。谷沿いに団員の叫び声や馬のひづめの音がこだました。野山を走り回る団員の姿はまさしくカウボーイ、カウガールだった。

このほかにも、カッティングやポールベンディングなどのウエスタン競技にも挑戦し、乗馬技術を磨いた。「初心者をどう楽しませてくれるかを見たかったが、素晴らしい内容だった」と野尻武彦さん(帯広市商工観光部次長)。最年少団員の長野未来さん(芽室高校2年生)も「まさか牛追いまでできるとは…。3日間本当に楽しかった」と振り返る。

OWAのプログラムは馬とともにあるカウボーイの仕事、生活を“再現”したもの。ハーレルさんはこの根底に流れるカウボーイ精神について、こう説明した。「生活はシンプルで、誠実であることに誇りを持つ。家族や友人、ともに働く仲間を大切にし、偉大な馬や自然に愛情を惜しまない。自由な精神で生きる象徴がカウボーイ」−。

アメリカ中南部の雄大な自然の中で語られたこの言葉に、感銘を受けない団員はいなかった。ハーレルさんから受け取った修了証とともに、テキサスのカウボーイ魂を胸に刻み、団員は次の視察地に向かった。(つづく・高久佳也)


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