中華ちらしは十勝独特の料理?

「割烹松竹」の賄い飯が“源流”



 昨年4月に帯広に引っ越してきて、中華料理店で「中華ちらし」というものを食べました。おいしいのですが、管外出身の私にとって、十勝に来るまで聞いたことも、食べたこともありませんでした。これは十勝独特の料理なのですか? 十勝では相当に浸透しているようですが、いつ、どんな形で出来上がり、どのように各店に広まり、定着したのでしょうか。 (帯広市・会社員男性・24歳)

いつから?
70年には既に商品化


十勝発祥といわれる「中華ちらし」。和風風味で栄養たっぷり(写真は「あじ福」の中華ちらし。後ろは池田店長)

 中華ちらしはハクサイやタマネギ、モヤシなど数種類の野菜と豚肉の細切りを油でいため、いり卵と合わせてご飯に掛ける。中華独特のあんかけではなく、砂糖やしょうなどを使った和風風味なのが特徴。関係者からは十勝が発祥の料理との声が多い。

 帯広市東2南6で長く営業、6月中旬から東4南7に移る「あじ福」の池田直彦店長(76)によると、市内の料理店「割烹(かっぽう)松竹」で働いていたとき、従業員が食べる賄い飯として余った素材で作ったのがきっかけ。厨房(ちゅうぼう)内の人気料理となり、来店客にも提供された。その後、割烹松竹から独立した料理人が各店でメニューに盛り込んだ。中華ちらしを提供する店の多くは割烹松竹を“源流”としている。

 市内の「上海」(西1南24)を経営する多胡達店長(50)が割烹松竹で働き始めた1970年には、既に中華ちらしがメニューにあったと言うから、三十数年もの歴史があることになる。多胡店長は「当時からイカやエビなど海鮮も入り、華やかで、まさに“ちらし”といった感じだった」と振り返る。

定番メニュー
各店が独自の味工夫


 71年4月に割烹松竹が火災に遭い、一時閉店した際、池田店長は独立して大衆中華料理店「あじ福」を開いた。「中華ちらしは、より多くの市民に認知され、口コミでも広まった」と話す。

 同様に割烹松竹の出身で、市内の「春香楼」(西10南17)の鈴木貞利店長(67)も同じころ、「気軽に肉と野菜の取れる丼もの料理がほしい」という客の要望が多かったことから、中華ちらしをメニューに盛り込んだという。評判を聞きつけた他店から「うちも中華ちらしを出していいか」との問い合わせが相次いだそうで、この時期から庶民の味として、中華料理店の定番メニューになっていった。各店が独自の味付けを工夫したことで、料理としての幅も広がった。

十勝人の気質影響
新しい物が大好き 「ひとつ鍋」の精神も


 日本中国料理協会帯広支部の林功支部長(美麗華店長)は「かつて東京や釧路、滝川などで修業したが、中華ちらしは見たことがない」と“発祥地”を強調。「新店舗ができると今も昔も行列ができるほど、十勝の人は新しい物が大好き。中華ちらしも最初は物珍しさから注文してみたのだろう」と推測する。

 NHK文化センター帯広教室などで家庭料理教室の講師を務める小野冷子さん(帯広)は「中華ちらしは食材をそろえるのも大変で火加減も難しい。家庭では簡単に作れない料理」と指摘、料理店のメニューとして人気を集める背景を示唆する。

 郷土料理研究家の村田ナホさん(帯広)は「十勝の開拓精神は『ひとつ鍋』。豚丼も中華ちらしも1つの鍋で作ることができる。食材をまとめて味付けするのも、おおらかな十勝人気質に合ったのではないか」と分析している。

(05.06.02)
 


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