地域の振興へ「最高の形」に
「最高の形で初開催を迎えられる。酪農は十勝の基盤をなす産業。国際的な交流が地域振興につながる」
十勝ナチュラルチーズ振興会(宇佐美明男会長)の前身・十勝国際交流ネットワークの時代から16年近く、仏国チーズ界とつながりを持ち続けてきた共働学舎新得農場の宮嶋望代表。ナチュラルチーズ国際交流会議「コミテ・プレニエ・フロマージュ」には5年前から参加してきただけに、十勝開催の喜びは大きい。
コミテ−は1990年に仏国で発足したナチュラルチーズ生産者らの連絡会議。「当時、世界市場では米国などが完全殺菌乳の推奨を推し進める動きがあり、それに対抗するため立ち上がった」と、提唱者の仏政府農務省酪農担当官ジェラール・リポー氏は3月、スペイン開催を視察した十勝の視察団に発足の背景を語った。
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コミテ−スペイン開催(3月)でのチーズ見本市。欧州各国から多種多様なチーズが集まり、にぎわいを見せた
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チーズ介した都市間交流に
国民1人当たりの年間チーズ消費量が世界最多(24キロ、日本は約2キロ)の仏国で、無殺菌乳の流通規制は同国農政の死活問題。設立当初、衛生的で高品質な無殺菌乳チーズを安定生産・販売するため、科学的な分析や生産技術の確立を急いだ。
「無殺菌乳チーズを国際的に認めさせていなければ、小規模工房は生き延びられなかった」。リポー氏は、歴史と伝統ある仏国産チーズの保存、継承に果たしたコミテ−の効果は大きかったと振り返る。
97年、趣旨に賛同したスイス、スペイン、イタリアが加盟。欧州各国に伝統的自国チーズを守っていく動きが広まった。そして発足から15年目を迎えた今、8カ国が加盟するまでに成長し、チーズを介した都市間交流にまですそ野を広げた。
市場の約9割外国産が占有
一方、日本国内でも食生活の西洋化やワインブームが重なり、ナチュラルチーズの国内生産量はここ20年で約6倍に伸びた。牛乳が10分の1に圧縮されるため、余剰乳対策として行政からも大きな期待が寄せられている。小規模チーズ工房数もここ20年で急激に増加。今では道内53、このうち管内では14の工房がある。
しかし、農林水産省によると、2004年度の国内消費量は6・8%伸びたのに対し、国内チーズ生産量(直接消費用)は12%も数量を減らした。逆に輸入量は8・8%増加。市場の約9割を運送コストや関税が上乗せされた外国産が占有しているのが実態だ。
紀元前からの歴史を持つ欧州チーズに比べれば、ここ二十数年で急速に普及した国産ナチュラルチーズは産声を上げたばかりだ。「まだまだ味に安定性がない、特徴が出しにくい、品質保証がない−などがネック」。宮嶋代表は弱点を分析する。
高品質を安定供給する生産技術の確立とそれを裏付ける保証体制の整備が急務になっている。「十勝開催は欧州がこれまで培ってきたノウハウにじかに触れる絶好の機会」。十勝のチーズ関係者の思いは熱い。
(高田敦史)(05.06.18)
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欧州発祥のナチュラルチーズ国際交流会議「コミテ・プレニエ・フロマージュ」(22−24日)の開幕が目前に迫った。酪農王国でのコミテの開催意義を紹介する。
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