バス運転手 加藤さとみさん (33)

◇自分に合った環境、家庭と両立◇

体力、運転技術に引き目感じない

 「自分が女性だからといって、体力も運転技術も男性に引け目は感じていない。仕事がつらいと思ったことは一度もない」。主婦業をこなしながら全長12メートル、54人乗りの大型バスのハンドルを握る毎日。「運転席は見晴らしが良く、気分がいい」とプロとしての余裕ものぞかせる。
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「仕事と家庭の両立には、職場の理解も必要」と加藤さん(川崎想子撮影)

 「建設車両などの大きな車を自分で操ってみたい」と21歳で大型2種免許を取得。歯科医院事務を辞め、運送会社で4トントラックに乗る仕事に転身した。22歳で結婚、女児2人をもうけたが、子育てが一段落した1996年「技能を生かしたい」と乗務員を募集していた大一ハイヤー貸切バス部に入社した。
 帯広養護学校の小型スクールバスの運転手として実績を積み、現在は川西小、中学校の大型スクールバスを担当。月1、2回はハイヤーにも乗務する。一般の貸し切りバス業務では夏場を中心に、釧路や千歳など日帰り圏内を担当しているが「子供が大きくなったら、もっと長距離を走りたい」と仕事に情熱を注ぐ。

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 広い北海道を走る貸し切りバスは1日の走行距離が長くなりがちで、運転には体力を要する。大型免許人口も限られている女性のバス運転手は少ないのが現状。道運輸局によると、道内の女性バス運転手は「函館や釧路の市街地を巡るコミュニティーバスでは親しみを打ち出すために採用されているが、業界全体ではほとんどいないのでは」(旅客第一課)。
 一般の乗客からも「女性が運転できるのか」「女性なのに立派だね」など男性側の意識に寄った言葉を投げ掛けられることもあるというが、加藤さんは「運転を見てほしい。職場は男性ばかりだが、はっきりものを言える環境で自分に合っている」と自信を示す。

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 十勝管内の業界で女性のバス運転手の雇用促進に向けた動きはないが、加藤さんを含めた女性ドライバー2人が働く同社の山岸義郎次長は「管内で女性がハンドルを握っているのは現在、わが社だけ。女性は物腰が柔らかく人当たりが良いので、乗客をもてなすのに向いている。常時2人は雇用しておきたい」と必要性を説く。
 仕事を続ける上では、家族の支えも大きい。加藤さんは毎朝5時ごろ起床し、家族の朝食と夫の弁当を作って出勤するが「夫は家事に協力的。小学4年、2年の子供も、自分たちができることを一生懸命やっている」。「今の職場は子供の参観日にも快く行かせてくれる。女性の職場進出を盛んにするには、周囲の配慮が欠かせない」と力を込めた。
(岩城由彦)(02.6.13)


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