経済的損失

畑作3品、1年で480万円の差


★作物と菌との「我慢比べ」に★

 「作物が元気になる環境では、そうか病菌も活性化するので、作物の生育だけを考えていると、そうか病菌が増えかねない。その意味では、土づくりは作物とばい菌の我慢比べと言える。突き詰めて言えば、人間がどこのラインでがまんできるかだ」−十勝農業試験場栽培環境科の東田修司科長は、そうか病菌との“闘い”を端的にこう表現する。

◆有機物の上でも増加
 そうか病菌はビートなどの宿主だけでなく、有機物の上でも増加するとの研究報告がある。pHコントロールなどをきちんとしない状態で、有機物を施用すると、そうか病菌の増加に影響を与える可能性もある。作物にとって良いとされてきた取り組みが、逆効果になってしまうこともありうるのだ。しかし、その対処法には「正解」が見つかっていない。「諸説あるが、pHの適正管理、排水対策、有機物の施用、輪作体系の維持−これらを組み合わせていくと見通しは暗くない」と東田科長はいう。
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 JA帯広大正が土壌診断プロジェクトに着手したのは、そうした現状下での「我慢比べ」に一定の判断材料を与えている。「メークインの産地なので、イモは特に大事だが、イモだけでは食べていけない。ほかの作物の収量を上げることを、総合的に考えていかなければならない」と担当の鳥居祐雄さん。

◆pHの「適正」カギ
 同JAは低pHによる経済的な損失を試算し、農家に情報提供した。3年間のプロジェクトで得られた生育試験の結果から、「低pH」「やや低いpH」「適正」の3パターンで、収量や粗収入を比較した数字。その内容は組合員の注目を集めた。
 小麦だと「低pH(4・9)」と「適正(5・6)」では粗収入に10アール当たり3万9000円の差がでた。ビートでは2万8000円。いずれも「適正」の方が多い。豆類を除いた畑作3品を計22ヘクタール作付けしている場合、年間差の合計は480万円にも上った。「机上の計算なのでこの通りにはいかないが、試算に使った収量値は大正地域での生育試験結果から得ており、そんなに遠い数字ではないと思う」と十勝中部地区農業改良普及センターの川口康弘専門普及員はみている。

◆基礎押さえ判断を
 「農家は1年1年が勝負。しかし、長いスパンで畑を見ていかないと、知らず知らずのうちに収量が落ちていくこともあり得る」とプロジェクトリーダーの森良雄さん。「pH改善に向けた実際の取り組みは、それぞれが判断して進めていくことになるが、とりあえずはみんながある程度の基礎を押さえた方がよいと思う。このプロジェクトの成果として、農家が努力した分だけ報われるようになれば」と今後に期待している。(おわり、高久佳也)(01.11.14)



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