共育キーワード

芽室町教育長 宮西義憲氏の視点 【4】


★「知・徳・体」身に着ける教育に★

教師と親の語り合いの場を


<新学習指導要領について>

目的の明確化最重要課題に
 学習指導要領がなぜ変わらなければならなかったのか、その背景を知るべきだ。詰め込み、偏差値教育といった今の日本の教育制度と社会が求める人材との間にミスマッチが生じ、その教育制度のひずみが落ちこぼれをつくった。今の子供たちに潜在的なストレスを与えている。授業内容を精選して量と時間を削減し、学校生活にゆとりを設けることは、子供たちの肉体的、精神的な疲労感を解放する源になるだろう。ただし、新学習指導要領は教育改革の手段の一つであって、改革のすべてではない。導入までの準備期間が短いという声があるが、学習指導要領改訂の流れはずいぶん前から出ていた。教職員は自分たちの職業意識でその動きは当然とらえていたはず。準備期間は十分あったと見ている。
 総合的な学習は、単なる体験では意味をなさない。管内でも農業体験などが展開されているが、子供たちにどんな力を付けたいのか目的が見えていない学校が目立つ。外部の人が講師となる場合も、講師の役目が「教師の手伝い」になっている。目的の明確化が最重要課題だ。

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<子、親、学校が変わっていかねばならないこと>

 子供、親、教師には、共通して実体験が欠けている。机上の知識が知恵に結び付いていかない。企業が「新卒者はリスクでしかない」というのも、子供たちに対応力がないためだろう。親や学校はこれまでの知力重視から、知・徳・体の3要素を身に着ける教育へと考え方をシフト変換しなければ。マスコミの影響で「ゆとり」という言葉が独り歩きしているが、特別なことをする必要はない。家庭での会話など身近なことを少し思い出してくれればいい。

助走期間で大きな成果
 芽室町では3年前から、「学校が変わる推進事業」として新学習指導要領実施に向けた準備費用を各学校に予算計上。学校側では総合学習研究や教職員の学習会にあててきた。この助走期間を経て、町内の数校で総合学習の狙いが明確になり、大きな成果があった。この助走があったかどうかで来年、学校間格差が生まれるだろう。教育委員会も基本的なところから事業の点検が必要。社会教育の面からのPTA支援も必要だ。

<あなたが考えるこれからの教育キーワード>

親と教師の役割分担を
 大切なのは教師と親の語り合いの場。両者の認識が一致してこそ「開かれた学校」が実現できる。教師は、どんな姿勢でカリキュラムを編成するのか、どんな子供像を目指すのかを父母に語ってほしい。父母も子供のことを教師任せにせず、教育の方針や考えを積極的に教師に尋ねるべきだ。教科以外の教師の負担を減らし、親と教師の役割分担を期待している。
 新しい教育効果がどれだけ上がったのかは「これからの子供の姿、親の姿、地域社会の姿」に表れる。3者の姿に明確な変化が表れる改革をしなければならない。「子供が変わる、学校が変わる、地域社会が変わる」を合言葉に、町教委としても学校と密接に連携、情報交換し、子供たちが生きがいを持って学べる教育を目指したい。  (聞き手・池田有紀)(01.12.21)

宮西義憲(みやにし・よしのり)
 1945年、芽室町生まれ。高校卒業後、帯広市内の民間企業に勤務。66年芽室役場入り。上美生出張所を振り出しに企画調整課、勤労青少年ホーム、教育委員会社会教育課、経済部長などを歴任。96年から現職。長男(26)、長女(23)の2人の子供を持つ父親。56歳。



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