学校・地域の融合

千葉・秋津小/神奈川・中原中


★住民の行動力が子供を育成★

学校開放や「教育会議」設置


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地域の女性が講師
 午後4時、教室の中では子供たちの英語教室が始まった。「1から10まで英語で言ってみましょう」「ワン、ツー…」。講師は地域に住む女性だ。
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 千葉県習志野市立秋津小学校には、空き教室を活用した「秋津小コミュニティルーム」(橋村清隆運営委員長)がある。住民が生徒とは別の玄関から出入りし、陶芸制作やサークルの会議などに利用。英語教室講師の女性は「住民が自由に使えるこのような場所があると助かります」とほほえんだ。
 次の日、6年生の「総合的な学習」が中庭にあるビオトープ(復元された野生生物の生息空間)で行われた。昨年完成した、児童の父親らの手作り。「水中生物を増やして、にぎやかな池にしたいね」。子供たちは丸太の橋を行き来し、水中を何度ものぞき込んでは思いをはせる。緩やかに流れる川の周りには草が茂り、小さな水田もある。
 同様に父親たちの力で飼育小屋や井戸、「ごろごろ図書室」も誕生。佐々木幸雄校長は「子供は人との出会いを通して成長する。地域住民の願いと行動力が子供たちを育てている」と話す。毎月第1・3土曜日のクラブ活動には、活動員と呼ばれる地域住民も参加。「子供に人間への信頼感が生まれ、心の成長につながっている」と佐々木校長。「子供を見る大人の目が増えれば個に応じた対応ができる。大人も子供たちとかかわることで生きがいを感じ、地域と学校の融合はそれぞれにメリットをもたらしている」とする。

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父親ら手作りのビオトープでの授業。水中生物や植物をどう育てていくか意見が飛び交う
関係ない人も必要
 「子供は学校だけのものではなく、社会の宝。教育には、学校と関係のない人の存在も必要」。神奈川県川崎市立中原中学校区地域教育会議の佐野愛子事務局長は強調する。「学校を通すと友達や先生との関係が絡んで本音が出づらい。父母も、子供という“人質”を取られているので言いたいことが言えない。地域のおばさんが学校にいることがいいんですよ」
 同会議は、地域の子育てや生涯学習に対する父母・教職員・住民のネットワーク化、情報の発信を目的とした市民の自主的組織。1991年度にスタート、同校の空き教室に事務室を構える。
 部活動に励む生徒たちの声を窓の外に聞きながら、事務室では、同会議の活動や教育情報を地域住民に周知するための広報紙「でんぱ塔」の編集作業が進んでいた。年配者も「こんにちは」と入ってくる。定年後、でんぱ塔の編集や行事の企画を手伝っている男性は「大人は建前論が出てくるが、子供は発展性のある具体的な話をする。子供から教えられることも多いよ」と窓の外に目をやった。
 子供たちを対象に行ったアンケート結果を広報紙に掲載する際、「先生は暴力ではなく口で言って」という回答の掲載見合わせを学校側に迫られたこともあったが、「生の声を載せるのがポリシーなので、そこは譲れないんです」(佐野局長)。

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壁を取り除く
 「地域全体が大きなふれあいの教育。その意識がより多くの人に伝われば」。佐々木校長の言葉からは、学校と住民の間の壁を取り除き、地域全体の強固な結び付きの中で子供を育てていこうとする意志を感じた。(池田有紀)(01.11.24)

 秋津小コミュニティルームは、和室や会議室など4室あり、午前9時から午後9時まで地域のサークルなどに開放。陶芸や合唱、大正琴など33団体が登録、年間1万5000人ほどが利用する。一方、川崎市では住民や各種団体の代表らで構成する「地域教育会議」を51の中学校区全区に設置、中原中校区をはじめとする7区に事務室がある。同中校区地域教育会議の活動は、子供座談会や教育を考える集いの実施、広報紙の発行など。事務室には局員が週に3回詰めている。



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