父親の教育参加

本当の「おやじ」の役割認識を


★協力すれば問題解決も★

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職業は“専業主夫”
 「颯哉(そうや)お客さんだよ、ごあいさつして」。父親に促されると、一歳八カ月になる颯哉君がコクンと上半身でおじぎをして迎える。お昼寝から起きた颯哉君は極めてゴキゲンだ。「機関車トーマスはどれかな」。父親に言われると、楽しそうに絵本を繰り返し指さした。「洗濯したばかりで、部屋が散らかってて。小さな子供がいるといくら片付けてもだめですね」と父親がほほ笑む。
 市内に住む長島雅さん(31)の職業は“専業主夫”。長男颯哉君の育児が仕事だ。もちろん食事の準備、買い物、掃除と主夫の一日は忙しい。妻の作野幸美さん(31)は帯広養護学校の教員。相手に自分の姓を押しつけるのはやめようと夫婦別姓を取り、育児や家事は「時間のある方がやっていたら、自然な形でこうなった」(雅さん)という。

 昨年春には公園デビューを果たし、同世代のお母さんたちとの会話も弾む。「父親だから、母親だからではない。シングルマザーもいて家族の形態は様々だから、できる方が精いっぱいかかわっていけばいいと思う」。そう言って颯哉君を抱き上げた。

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本当の意味で男性は教育に参加することができるか。“おやじ”の挑戦は始まったばかり。颯哉君をあやす専業主夫の長島さん

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「おやじの会」拡大
 「父親が教育に参加しなければ」という意識は、管内でも「おやじの会」という形で徐々に高まっている。市内で初めて「おやじの会」が発足したのは一九九七年六月。同じ年の二月には中高生グループがテレホンクラブに電話をかけ、待ち合わせ場所に来た男性を集団で襲うという「テレクラおやじ狩り事件」が起こった時期でもあった。
 「おやじも子供や学校の現状を知ろうじゃないか」。当時帯広柏小のPTA会長を務めていた柴田隆視さんが父親や教員に呼びかけ、約二十のメンバーで発足した。「おやじの“飲み”会」になる時もあるが、講師を招いた学習会を開き、学校行事にも積極的に参加している。柴田さんは「父親も教育を知ることで、夫婦の会話も増え、子供とのコミュニケーションもとれるようになったメンバーもいる」とメリットを話す。
 今では市内六つの小学校をはじめ、幼稚園や中学校、町村の学校にもできた。しかし、柴田さんは「まだ少ない」と感じている。「すべての学校に広まってほしい。父親がしっかり協力すれば、解決する子供の問題はまだまだ多い」という。
 最近は学校行事にも「おやじ」はよく登場する。小学校の運動会では、ビデオカメラを構えた父親がずらりと前列に陣取り、入学式や卒業式にも母親と連れだった父親の姿は決して珍しくなくなった。

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存在見えぬ父親
 産婦人科でも父親の立ち会い出産が全体の四割を占める病院もある。「確かにこの時期からのかかわりは増えたが、立ち会いをファッション感覚でとらえている父親も多い。その後もずっと子育てに協力するのかと思えばそうでもない」とある医師は打ち明ける。
 「母親はだれにも相談できず、今でも一人で子供の問題を抱えている」と指摘するのはカウンセラーの横浜ミエさん。一年間に応じる約五十件の相談のうち、父親が一緒に飛んで来るのは二、三件。あとは存在すら見えない。「父親が家庭の中で母親と協力して子育てするまでには至っていない。時代が変わり、父親の役割が子育てに不可欠になっている。父親は子供と母親をしっかりと受け止めてほしい」と警鐘を鳴らしている。
(年間キャンペーン取材班=岡村忍)(01.1.5)

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