コ ス ト 

★「おいしさ」と「経費削減」★

意義見極めた論議必要

 「音更町上然別小学校(二ツ山智校長、児童十一人)で給食の時間が始まった。教職員も含め全員がランチルームに集まって来る。調理師の坂田美保子さんが、出来たての料理を調理場から運んできた。「いただきまーす」。今日のメニューは野菜がたっぷり入った「きつねそば」。器は持つとまだ熱い。「家の食事よりおいしいよ」。ほとんどの児童が残さずきれいに食べ終えた。

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音更は自校方式
 坂田さんがこの日二十食分を完成させたのは給食開始直前の午後零時十五分。それでも「少しでも温かいものを」と小皿にラップをかけた。
 音更町は管内で唯一、各学校の調理場でつくる「自校方式」を実施している。小・中学校の給食をまとめて作る「センター方式」と違い、その場で作った料理を温かいまま味わえ、万が一食中毒が起きても、被害が学校の範囲で収まるなどの利点がある。給食費は一食当たり二百十五円(二〇〇〇年度小学校)。管内平均の百九十四円を二十一円上回る。月額にすれば三百八十三円の違いだ。
 道教委の調査では道内小・中学校で自校方式を実施するのは三〇・九%に当たる六百五十九校。七年前に比べると一二・三ポイント増加した。

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完成した給食を小皿にとりわける調理師の坂田さん。子供たちには出来たての料理が届く仕組みだ(音更町上然別小)

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最大の要因は経費
 それでもセンター方式が多数を占めている最大の要因は行政費用が安く済むということだ。帯広市は一九六五年、自校方式からセンター方式に改めた。徹底した衛生管理や人件費削減などの合理化政策が目的だ。現在はさらなるスリム化を目指し、調理業務を民間委託する方針を示している。
 市学校給食共同調理場の大野拓治場長は「給食費の一部は市民の税金で負担している。人件費などの削減分を、安全に給食を提供するための施設改善などに充てることができる」とメリットを話す。
 今年四月にセンターを建て替えたばかりの芽室町も「輸送コストを除けばセンターの効率は高い」と強調する。学校統合が進み町内の小・中学校は八校。配送時間も短く、宮西義憲教育長は「センター方式でも自校給食とさほど変わりないものを提供できるはず」と話す。

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「単独が望ましい」
 二十一の小・中学校ごとに調理している音更町が仮にセンター方式になった場合、六十一人の調理員は現在の三分の一で済むとの試算もあり、食品の一括購入などによるスケールメリットは大きい。ただ、石原進教育部長は「おいしさが定着しているため、センター方式にすると言ったら父母から猛反発を食らう。今のところセンター方式移行の考えはない」と話す。
 文部省(当時)の諮問機関・保健体育審議会は一九九七年、食指導充実の観点から「共同方式の合理性と比較考慮しながら、単独校調理場方式への移行を検討することが望ましい」とする答申を出している。
 給食の意義が問われ、食品の安全性に対する関心が高まる中、給食の意義をきちっと見極めた上でのコスト論議が求められそうだ。
(岡村忍・おわり)(01.7.5)

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