障害児の進学

普通学級の受け入れ拡大へ


★ソフト面の充実が課題★

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最終目的は自立
 「えりなちゃん一緒に遊びに行こう」。帯広栄小学校の一年一組。休み時間を告げるチャイムが鳴ると、千葉絵里菜ちゃん(6ツ)はクラスの女の子たちに取り囲まれた。「私が押すよ」。一人の女の子が車いすを押し、残りの友達は絵里菜ちゃんと手をつなぐ。
 体育館に到着すると、六年生も一緒になって「はないちもんめ」が始まった。輪になって相談する場面では、絵里菜ちゃんの目線に合わせ、ほかの子供たちが自然としゃがみ込む。チャイムが鳴るまで歓声が響き渡った。
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クラスの友達に囲まれて、遊びに行く絵里菜ちゃん(中央)。「勉強がとても楽しい」とはじけるような笑顔を見せる
 障害を持ちながら普通学級に通う絵里菜ちゃんは会社員和宏さん(42)と久美子さん(41)の二女。生後二カ月で胆道閉鎖症と診断され、一歳の時に生体肝移植を受けたが、両手足に障害が残った。
 久美子さんが就学相談のため最初に同校を訪れたのは昨年四月。「最終目的は自立。今のうちから社会性を培ってほしい」と普通学級を希望。絵里菜ちゃん自身も「お姉ちゃんたちが通った学校へ、保育所の友達と進学する」のがごくあたり前のことだった。
 十回近く学校へ足を運び、就学指導委員会が下した判断は「普通学級」。現在は授業の補助とトイレなどの介助に久美子さんと市の介助員らが交代で学校に詰めている。
 市教委によると現在市内の小中学校で障害を持つ児童生徒は百三十二人。二十八人が普通学級で学ぶ。管内町村で介助の必要な肢体不自由児を普通学級で受け入れているケースはない。

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担任一人では…
 一日中介助に付き添う親の負担を軽減しようと市教委では一九九七年から介助員制度を導入。今年度中には市内の小・中学校すべてに玄関スロープとトイレを設置する。
 しかし、絵里菜ちゃんのようなケースばかりではない。「基本的に普通学級で学ばせてあげたいが、障害の個人差は大きく、その子にとって専門的教育を受ける方がプラスになる場合もある」(市教委の佐野誠紀学校教育課長)と判断の難しさがあるからだ。
 学校現場からも「知的障害がある場合は、担任一人で面倒を見るのは現実的には難しい」との声が漏れる。
 絵里菜ちゃんの通う栄小の真田正樹校長は「クラスの子供たちや彼女の笑顔を見ていると、受け入れてよかったと思う。ただハンディがある分、どうしてやれば彼女にとってプラスになるのか。それが分からない不安はある」と話す。

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介助員を増やして
 文部科学省は障害児が普通学級で学びやすくする就学基準の緩和を打ち出し、新学習指導要領がスタートする二〇〇二年度からの実施を目指している。障害児を持つある母親は「専門についてくれる教師や介助員が増えなければ、障害が重い子供たちの受け入れはまだ難しい。ソフト面の充実を早急に進めてほしい」と切に願っている。
(岡村忍)(第二部おわり)(01.5.7)

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<障害児の就学基準緩和>
 文部科学省の研究会議は、障害のある児童生徒の自立と社会参加を支援するため、養護学校などに就学すべき障害の基準を見直すよう提言した。現在障害児は、医師や専門知識を持つ教員、児童相談所の職員らで構成する就学指導委員会の判定に基づき、各市町村教委が就学先を最終決定している。障害児学級と判定された場合でも、親の強い希望で普通学級に通うケースもある。

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