ゆとり

「生きる力」どうはぐくむ


★重要増す教師の役割★

 「今、日本の教育は重大な危機に直面しています。2002年には学習内容が三割も削減され、学力低下に拍車がかかりそうです。このままでいいんでしょうか」。この春、強烈な印象を与えるCMがテレビから流れた。
 CMを流したのは大手進学塾の練成会グループ(奥山英明会長)。キャスターの草野仁さんを起用し、2002年度から始まる新学習指導要領に、“警告”を発している。

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「学力低下は明白」
 学校完全五日制により、小・中学校の授業は年間授業数の一割近くに当たる週2時間分が減る。さらに「ゆとり」の中で基礎的な内容を繰り返し学習させるため、教育内容が現在の七割程度にまで削減される。
 円周率を「3」で計算したり、四けた同士の計算が小学校の算数から消える。畜大練成会の秋林稔常本部長は「計算が簡単になり、基礎の部分が鍛えられなければ、学力低下につながるのは明白」と強調。「習う量の減少でだれもがいい点を取るようになり、もっと勉強したいと思う子供の心が育たなくなる」と懸念する。
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ゆとりは子供たちに生きる力を与えるのか−。新学習指導要領の施行まで1年を切った
(写真と本文は関係ありません)

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課題見つけて勉強
 「学ぶ知識の量は確かに減るが、それだけで学力低下につなげるのは一面的」と指摘するのは市教委学校教育指導室の野崎司春室長。野崎室長は新学習指導要領の狙いを「ゆとりの中で子供たちに生きる力を身に着けさせようという発想。今まで以上に基礎・基本の定着を図ることで、子供たちは自分で課題を見つけ、自分で勉強を深めていく力がはぐくまれる」と説明。
 「過密な授業」「知識偏重」の反省から生まれた新要領では、新たに「総合的な学習の時間」を導入し、各教科でも体験的な学習を重視している。ただ、限られた授業時間の中で新要領が狙う効果的な指導を行うためには教師側のさらなる工夫が必要だ。

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格差拡大を懸念
 管内の40代の男性中学校教諭は「児童生徒にゆとりが出る分、教師はますます忙しくなる。やる気のある教師ばかりでなく、学校間格差や生徒間の学力格差もますます開くのではないか」と不安を抱える。
 野崎室長は「今後、教師の力量がますます問われることは事実。習熟度別の学習やチームティーチング授業など、多様な指導法を身に着ける必要がある」という。市教委では教育課程編成のための手引を作成したり、研修会を行うなど、教師を支援する姿勢を打ち出している。
 学習内容の削減が、子供たちにゆとりと自ら考える力を与えるのか−。「ゆとり」ある教育は関係者に不安を広げながら走り出そうとしている。
(岡村忍)

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 「ゆとり」の中で「特色ある教育」を展開し、「生きる力」を育てる−。小・中学校で新学習指導要領が全面実施される2002年度まであと1年を切った。今、学校・地域はどういった変化を強いられているのか。取り巻く現状、課題を探ってみる。(01.4.30)

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<授業時数の削減>
 2002年度から実施される新学習指導要領では小中高校ともに授業時間を週当たり2時間削減。これに伴い、複雑な内容は削除したり上の学年に移行させている。例えば算数では現行より約31%、中学校の数学で約34%内容が少なくなる。高校も卒業に必要な単位数を80単位から74単位に削減される。



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