十勝毎日新聞
KACHIMAI
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狂牛病問題

産地の悲痛な声を紙面に

影響深刻・・・どう再生

連載企画
今後の対策、方向性探る


十勝の基幹産業・農業に2年続きの災禍が襲っています。9月10日に疑似患畜が見つかって以来の狂牛病(牛海綿状脳症、BSE)問題です。国内最大の畜産・酪農地帯の十勝では、畜産・酪農をはじめ、食肉処理・流通、小売りなど関連業界へと深刻な被害が広がり、昨年の口蹄疫(こうていえき)、雪印乳業集団食中毒事件を上回る「負」の影響を与えています。十勝の畜産を再生するにはどうしたらよいのか−自問自答しながら取材を続けています。(政経部主任=高久佳也)



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いつもはカウンターが客で埋まるという焼き肉屋も、取材に行った日は1組だけ。大阪では消費者の牛肉離れのすさまじさを実感した(10月3日、大阪市内で)
BSE問題の大きな転回点は9月26日、千葉県内で見つかった疑似患畜が国内初の患畜と確認されたことです。それまでは、肉牛の販売価格も以前と変わらない水準で推移していて、十勝管内の関係者は、事態の推移に不安な表情を見せながらも「早期に事態が収拾されてほしい」と期待していました。
ところが、9月下旬から様相は一変。消費者の国産牛離れが一気に加速し、肉牛の価格が1週間で半値以下に暴落しました。食肉加工会社では仕事ができなくなり、従業員が自宅待機する事態にも発展しました。
本紙では今年3月24日付の紙面に、「ニューズウィーク日本版」(3月14日号)の特集記事「まだ消えない狂牛病の恐怖」を転載しました。当時はまだ海外での発生でしたが、国際化が進む中では日本もその汚染の例外とは言い切れないとの判断で掲載しました。
今回のBSE発生にあたっては、地元の関係者の声をできる限り紙面に掲載、産地の悲痛な声を記事にしようと心がけてきました。同時に、事態を打開するヒントが得られれば−と10月初旬、記者を大消費地・大阪に派遣しました。十勝牛の多くは関西方面に出荷されているからです。  BSE問題が起こってから1カ月を契機に、「畜産再生」(全4回)という企画も連載しました。当初この企画はこれまでの推移を振り返る特集にする計画でしたが、取材班の中で「前向きな内容にしよう」との声が上がり、記事のトーンを今後の対策、方向性に絞りました。
しかし、その間も事態は深刻化しました。18日からはと畜場での全頭検査が始まりましたが、国産牛肉の消費は低迷したままです。農業団体の対策本部が試算したBSEの損失額は、来春までに約200億円。もはや農業だけの問題では済まされません。担当にこだわらず、編集局を挙げて取材を展開していきます。


予想以上の風評被害

大阪取材「頑張って」の声励み

金澤航記者
「大阪で道産牛の売り上げが落ちている」−。この話を聞いたのは10月上旬のことでした。大阪といえば牛肉の産地・十勝にとって大きな“お得意さん”。ここで牛肉が売れなくなれば、十勝に与える影響は甚大です。すぐに小売店などに取材を申し込み、大阪に向かいました。

現地ではスーパーや焼き肉店、レストラン、百貨店など、とにかく「牛肉」を扱うお店を探して歩き回りました。そこで見たのは予想以上の風評被害のすさまじさ。「松阪牛」だけを扱っている精肉店ですら売り上げは半減。もはや「道産牛だけが売れない」という状況ではありませんでした。

大阪市梅田の焼き肉屋さんでは、ご主人から「このままじゃ店を畳むことになるかもしれない。なんでうちがこんな目に遭うんだ」とやり場のない怒りをぶつけられたことも。何が安全で何が危険なのか、正しい情報が伝えられないため、「とにかく牛肉は食べないのが無難」という根拠のない“ムード”に消費者全体が覆われているのを肌で感じました。

大阪の現地取材ではこうした怖さを実感した半面、大産地・北海道に対して各方面から「北海道の牛が安全であることが証明されれば、消費は戻る。頑張ってほしい」という期待が高いことも知りました。狂牛病問題は“長期戦”が予想されます。大阪で聞いた“エール”を励みに、今後も産地の声や実情を正しく伝えていきたいと思います。

(01.10.28)


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