牛乳中のダイオキシン
中野畜大教授に聞く

本州で高濃度検出〜厚生省は一刻も早い対策を

【社会部=高久佳也】日本各地で牛乳中のダイオキシンを調査、その中間結果を日本農芸化学会で発表した帯広畜産大学の中野益男教授(環境生化学)のもとに、全国各地の生産者や消費者などから多数の問い合わせが寄せられている。「牛乳は大丈夫か」という心配の声や「牛乳が売れなくなる」という苦情まで幅広い。この結果を酪農王国・十勝はどのように受け止めたらよいのか−中野教授に聞いた。

−調査完了を待たずに調査結果を発表した理由をまず教えてください。

今回公表したのは全国を六ブロックに分けたうちの二ブロックの結果。こちらは比較的きれいでしたが、焼却施設の周辺では危険に近い数値。しかし、問題だったのは、これと並行して単発で調べた本州の都市近郊の牛乳から非常に高い濃度のダイオキシンがでたことです。厚生省は一刻も早く本格的な対策を立ち上げねばなりません。五年計画の調査完了まで待てない−そう思ったのです。
中野益男教授

焼却施設の半径10キロ以内に対策を

−発表された数値をどのように理解したらよいのですか。

公表したデータは酪農地帯のきれいな地域で得られたもので、平均的にほぼ安全なレベルにありました。しかし、ダイオキシンの種類を分析すると、特に半径五−十キロ以内では焼却施設で発生したダイオキシンが高くなっている。また、一部では農薬や野焼きが原因とみられる種類のダイオキシンも見つかりました。早急な対策が必要です。


生産者も消費者も短絡的では困る

−発表後の反響が大きいが…。

来訪者や電話、ファクスがたくさん来ています。なかには「(北海道の)牛乳購入をボイコットする」などという声もありますが、生産者も消費者も短絡的に考えてもらっては困ります。厚生省は「全国各地の牛乳を混ぜているから安全だ」という説明をしていますが、その論法でいくと、今は北海道のようなきれいな酪農地帯で生産される牛乳を合乳しているから安全レベルが保たれているのです。大切なのは、今、前向きな対策をとることです。

合乳の禁止など欧州なみの基準を

−今後の対策はどのように進めていくべきと考えていますか。

ヨーロッパでは乳脂肪によってダイオキシン濃度をチェック、その結果によって廃棄や監視、合乳禁止などの措置を定めています。日本もせめて欧州なみの基準を設けるべき。酪農王国の十勝は生き残るために、ここの牛乳が安全であることの保証が必要。発生原因になっている焼却施設や農薬、野焼きなどの問題をきちんと解決しなければなりません。それは経済性や効率だけを考えていては前に進みません。行政の果たす役割も大きい。牛乳は特に子供が多く飲むもの。子供たちの生命そのものを供給している、という自覚で対策に当たるべき問題です。


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