|
−7− がんや奇形の原因となるといわれるダイオキシン。自然界では容易に分解できないことが問題を大きくしている。それでは一体どの程度まで人体に蓄積したら危険なのだろうか。 1996年6月。ダイオキシンの毒性を評価していた厚生省科学研究班が中間報告の中で、TDI(耐容1日摂取量)を、体重1キロあたり1日10ピコグラム(1ピコグラムは1兆分の1グラム)と提案した。TDIは、人が毎日摂取し続けても健康への影響面で許容される量。 このTDI値が出るまでは、ごみ焼却施設からのダイオキシン発生が問題とされ始めた翌年、1984年に厚生省が出した体重1キロあたり百ピコグラムが評価指針だった。このことを考えれば、ヨーロッパなみ=表参照=の基準に近づいたことになる。一方で12月、環境庁の「ダイオキシンリスク評価検討会」が中間報告をまとめた。健康リスク評価指針値として、体重1キログラムあたり1日5ピコを提示した。
同検討会によれば、日本の現状では、一般的な生活環境に暮らしていて、1日体重1キロあたり0.3〜3.5ピコグラム、また魚からの摂取量が多い場合やごみ焼却施設周辺などでは5ピコグラムに達しているケースもあると推定。ここから指針値を割り出している。環境庁はこの数値をもとに今後、環境保全対策を進めていくことになる。 また厚生省は96年6月に「ごみ処理に係るダイオキシン削減対策検討会」を設置。TDI値をもとに、一般廃棄物処理のダイオキシン対策を検討している。10月に中間報告が行われ、今月中に最終報告を発表、地方公共団体に指導していく予定だ。 報告の要旨はこうだ。燃焼の過程でダイオキシンの発生を抑えるには、焼却する量を減らすのが第一。さらに「安定して、かつ高い温度で燃焼し続けるほど発生が抑えられます。つまり管理が難しい小規模施設よりも、24時間運転する全連続炉の方がダイオキシンが発生しにくい」(坂川勉厚生省環境整備課課長補佐)。 指針値をもとに90年、厚生省がガイドラインを設けた。それ以降に設置された焼却炉ではダイオキシンの発生量も、煙突からの排出濃度で1立方メートルあたり0.5ナノグラム(1ナノグラムは10億分の1グラム)程度へとかなり抑えられている。恒久対策として今後新設する施設では、排出濃度0.1ナノグラムを目指す方針だ。 他方、老朽化した焼却炉や小型の炉では、ダイオキシンの発生量が多い。緊急対策としては連続燃焼への切り換えや施設の改善、排ガスを冷却すること(300度前後でダイオシンが発生しやすいため)などを10月の中間報告後、既に地方団体に通知している。 この厚生省の検討会は家庭の一般廃棄物を対象にしている。厚生省では「ダイオキシンの発生源について推定した結果、都市ごみの焼却による発生量が最も多かった」(坂川課長補佐)ため、まず一般廃棄物についての対策に取り組むとし、「産業廃棄物についても取り組まねばと考えています」と話す。 しかし、今回取材した埼玉県「くぬぎ山」の事例で、産業廃棄物焼却炉も悪状況にあることが分かった。また十勝にも産業廃棄物の小型焼却炉は多い。一般廃棄物、産業廃棄物、ともに早急な対策が必要だ。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||