ダイオキシン 十勝の対応は
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揺れる稚内(上)〜首都圏のごみ搬入を拒否

3月上旬、廃棄物処分場建設計画で揺れる稚内市を訪ねた。ダイオキシンによる地域環境の汚染を心配した市民たちの声は、十勝への警鐘に聞こえる。

「稚内のゴミは稚内で処理し、ほかには迷惑をかけていない。だから、他のまちのゴミは絶対、受け入れるわけにはいかない」。同市ゴミ処分場建設反対市民の会の丸小一出彦さんは強調する。

同市は、札幌の砂利採取業者が同市上声問(かみこえとい)地区に描く廃棄物処分場計画に対して、市民と行政が一体になって反対しているケース。注目されるのは、処分する廃棄物が首都圏の一般廃棄物焼却灰と言われる点だ。道外からの廃棄物搬入は、道がこれを認めない指針を示すことで、一応の防波堤を築いているものの、稚内では現実味を帯びてきている。

同社が昨年3月に示した全体計画によると、この施設は、延べ面積50ヘクタールの敷地に、埋め立て容積200万立方メートルの一般廃棄物最終処分場(100万立方メートルを2施設)と、産業廃棄物焼却施設を作る内容。現在、設置許可を道に求めている最終処分場計画地は、市民5万人の水がめ「北辰ダム」に近いため、1993年、「飲み水がダイオキシンなどの有毒物質で汚染される」(同会長)と、住民たちの反対運動に火が付いた。

しかし、住民たちは「一般廃棄物は本来、法律が排出自治体による処分を定めている半面、その自治体が業者に委託すれば、後はどこへ捨てても構わないというのは筋が通らない」(同会長)と、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に対する不安不満が根強くある。
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稚内市郊外に設置された処理場反対の看板。72ある全町内会が反対している。

一般廃棄物をほかの自治体で処分する場合、同法6条の[4]は当該自治体が互いの廃棄物処理計画に位置づけることを求めている。つまり「お互いに話し合いを持って進めなさい」(市関係者)との意味。しかし義務ではなく、条文は「計画と調和を保つよう努めなければならない」と、いわば努力目標になっているため、同市のように業者が突然現れて、計画を進めていくケースもでてくる。

市環境衛生課の鎌田紘課長は「せめて排出自治体さえ分かれば、そこと話し合いをして稚内に廃棄物を持ち込むことを止められるのに…」と語る。このため市は業者に対して排出自治体の明示を再三要求しているものの、返答は得られないのが現状。市民からは同法について「ザル法」と、法的不備を皮肉る声が聞かれる。

本州に砂利を船で移出している同市は、帰りの荷物を見つけて船輸送を成り立たせるのが課題で、焼却灰はその帰り荷として運ばれると言われる。さらに計画地は港から30キロ圏内と陸送が容易だ。「業者にしてみれば条件が整った最適地」という。

市関係者はこう打ち明ける。「それでも、この北端の地に輸送するには相当の輸送費がかかるはず。おそらく、委託した自治体は実は存在しないで、箱物さえできれば、後はどうにでもなる計算が業者にはあるのだろう。首都圏は、処分に困っている自治体がたくさんあると聞くので…」。行き場に詰まった廃棄物の波が堰(せき)を切ろうとしている。
(年間キャンペーン取材班=児玉匡史)
(97.03.30)


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