ダイオキシン 十勝の対応は
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宙に浮く産廃処理〜つきまとう汚染不安

「安全性の問題をクリアしておかないと、今後産業廃棄物処理施設の建設は不可能になる。何とか、もう一度説明をしたいのだが…」。産業廃棄物処理施設・帯広公清企業組合(市内西24北4)の移転問題を担当する、市緑化環境部の阿部孝行参事は、表情を曇らせる。地域住民の反対を受け、移転問題は宙に浮いたままだ。

発端は、1992年にくりりんセンター(西24北4で昨年10月から稼働)建設に際して、同センターに近い芽室町西士狩地区住民と、帯広市ほか13町村複合事務組合(組合長・高橋幹夫市長)、芽室町の3者が交わした確認書だった。この確認書には公清企業組合を「98年をめどに移転を進める」と明記されている。

このため、複合事務組合の依頼を受ける形で、市が利害関係が生じる民有地は避ける、水道水源の上流を避けるなどの理由で、八千代牧場の飛び地(広野町)に移転候補地を選定。昨年4月から公清企業組合と共に地元の町内会に対して建設の説明会を開いてきた。
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高橋市長に建設計画の撤回を求める要望 書を提出する安田会長ら(昨年12月13日)
しかし、建設計画に対して反対の動きが次々と起こった。昨年12月6日に八千代と中八千代の2町内会は「建設反対」の要望書を提出した。地元八町内会で組織する八千代・広野地区連合町内会(安田秀太郎会長)も、予定地に近い芽室町の雄馬別地区などの住民とともに、高橋市長に対して同月13日、「計画の白紙撤回を求める」として要望書を提出した。地域の農業青年が「問題点を自ら学びたい」と勉強会を開いたり、女性たちが独自に234人の反対署名を集めるなどの取り組みもあった。

地域住民が建設に反対する最大の理由はダイオキシン汚染への懸念だ。要望書には「住民の健康や生命を脅かすことは明らか」「地域の農産物に多大な悪影響を与える」などの不安がつづられている。

これに対し、公清企業組合に複合事務組合、市が協力して、新施設についての安全評価検討委員会が近く設置される予定。大学教授や工業・農業試験場などで構成し、安全性を検証するのが目的で、市などは委員会の結論を待って、再度地元への説明を行いたい意向だ。「地域からの指摘もあり、施設の安全性の確認は必要。その上で地元と協議し、一定の方向性を見出したい」と阿部参事。再度の説明を求めるのはたとえ予定地での建設が無理でも、安全性に対して一定の“答”を出さないと、どこにも建設できないことになるからだ。

高橋市長は市議会の場で「産業振興のために産業廃棄物処理施設は地域にとって不可欠。しかし、建設には地元の合意が必要」との答弁を繰り返す。建設予定地の住民の中にも「施設の必要性は認める」との声はある。今回の移転問題に限らず、迷惑施設建設の場合、“総論賛成、各論反対”の動きは常につきまとう。しかし、確認書のタイムリミットである98年は、来年に迫っていることだけは、避けられない現実だ。
(年間キャンペーン取材班=末次一郎)
(97.03.28)


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