市民活動の源流-5-

仙台から(下)


在宅福祉の担い手として期待
法人化で社会的認知を

◇  ◇  ◇

phot

高齢者向け食事サービスを展開する「グループゆう」。事業の拡大で専従会員の
社会保障が課題となっている

ボランティアを超えるべきか

 仙台市泉区の高齢者向け食事サービス団体「グループゆう」。今、この市民団体が「ボランティアかボランティアを超えるか」という組織の選択を迫られている。

 手作り弁当を高齢者に宅配するサービスを始めたのが1995年7月。週1回20食で始まったサービスは、地域の女性がボランティア活動の充足感を得るには適度な活動量だった。

 ところが、現在は週4回1回平均100食を超える規模に拡大、食材の買い出しや下準備などを含めると、調理スタッフは週5、6日の稼働に。会員はカーボランティアと呼ばれる宅配会員を含め時給150円の“薄給”。それでも一食500円の単価では実費割れ。

 「スタッフが無償では、長く活動を続けられない。特に、専従会員がある程度いないと厳しい。これらの会員はほかで働けない。活動費の保障が必要になってくる」と中村祥子代表。

 「グループゆう」は先導的ボランティア事業として仙台市から助成を受けているが、その助成も今年まで。加えて介護保険のメニューに食事サービスは含まれておらず、活動資金の手当が最大の課題という。

phot

介護保険導入で、在宅サービスの認定事業
参入を検討する「生活リハビリ
クラブきらら」

社会サービスの供給体に移行へ

 厚生省には在宅支援策として、自治体が実施主体となる食事サービスへの助成制度があり、その制度の委託先は法人格を持つ団体に限られている。

 「仙台市に手を挙げてもらい、委託事業に参入することが活動を継続する手立て。民間企業や“社協型”公的サービスに加え、民間の公益事業体が食事サービスに参入することで、利用者の選択肢が広がる。競争原理の中でサービスのチェック機能も働くはず」と中村代表。ボランティア団体から「社会サービスの供給体」に移行するためのステップとして、NPO法人化を検討しているという。

 介護保険制度導入で、在宅介護サービスの指定事業者の認定に意欲を見せるのは、仙台市の北に隣接する多賀城市の「生活リハビリクラブきらら」。約20年の看護婦生活で公的デイサービスに限界を感じた内海静子代表が宅老事業を始めたのが九五年。1日3,500円で高齢者を受け入れているが、常勤スタッフの人件費や食材費などの経費に充てられ、利益はほとんど出ない。

“事業型NPO”へ変質迫られる

 「民間の宅老事業は低コストでキメ細かいサービスができるのが強み。ただ、財源が底をつけば、良質のサービスができない。NPO法人化による介護サービスの受託は、市民活動の社会的認知にもつながる」と内海代表は言う。

 宮城県内では昨年4月、在宅福祉サービス、食事サービス、宅老サービスの三NPOネットワークが「3(さん)ネット」として連携、在宅福祉の担い手としての期待も高まっている。介護保険制度の公的サービスの限界が指摘される中、福祉型NPOはサービスの担い手確保という社会的要請と、活動資金確保による組織の存続という要件によって、より公益性の高い“事業型NPO”への変質を迫られている。  (年間キャンペーン取材班=鈴木裕之) (99.1.7)

◇  ◇  ◇

<第三セクターとNPO>
 第三セクターを日本では行政と企業を足して二で割った公営企業体ととらえ、近ごろは失敗が目立つが、アメリカで生まれたそもそもの概念は、税金を使って公共活動をする第一セクターの行政、営利活動をする第二セクターの企業に対し、第三の役割を果たす営利を目的としない民間活動を第三セクターと言った。そして、第三セクターを構成するのがNPOである(ぎょうせい発行「NPO基礎講座」より部分引用)。日本NPOセンター事務局長の山岡義典氏はこの本の中で「戦後日本は行政と企業だけの社会で高度成長を成し遂げた。しかしそうでなくなった今、NPOがある社会は生活を豊かにしてくれる」(一部省略)と解説している。

1101112
index


HOME