先進地ドイツに学ぶ(4)

自助組織支える「センター」


情報提供や連携促進
250地域に相次いで開設

◇  ◇  ◇

 ケルン・ボンの住宅街にある日本語キリスト教会。この団体は、日本でいうNPO法人、登録社団(e.V)だ。会員30人余りという小所帯だが、単なる宗教活動だけにとどまらず、バザーや集会などを通じ、異国の地で暮らす日本人の憩いの場になっている。

■拠点と資金確保が課題

 e.Vにして15年余り。当時、登録手続きに奔走し、現在、会計を担当する藤井隼人さん(52)はしみじみとこう述べる。「活動を持続させるには拠点と資金の確保が大きな課題。うちは教会があるからいいが、資金面は厳しい。大きなe.Vは別として、どこも同じ悩みを抱えているんじゃないかな。登録するのが簡単な分、消えていく団体も多い」

 日本の非営利団体からも同種の悩みが聞かれる。昨年12月のNPO法施行で非営利団体への期待が高まるなか、それらをサポートするNPOの機関が相次ぎ各地に開設されている。

 ドイツでも、非営利団体の活動を支える機関がある。各州ごとにある「情報・支援センター」だ。現在、250地域にあるほか、連邦レベルの交流センター(NACOS)も存在している。

 e.Vのコンサルタントなどを手掛ける有限会社メセナタのシュトラヴィッツ取締役は「1950年代から市民は政治や経済に疑問を持ち始め、自助組織がどんどん誕生した。80年に入り、彼ら自身で連絡所を作ろうという動きが出始めた」と説明する。

■州と市の助成が7割強

 ケルン・ボンの中心部に近い場所にある「KISS」もその一つだ。86年に開設、全事業費の7割強が州と市からの助成。3階建ての2階部分に事務所を構え、スタッフルーム2室に資料室、2つに仕切れる広い会議室がある。職員は3人だが、そのほかに政府の失業者雇用対策で派遣されたスタッフが3人いる。

 利用者はe.Vのような公的な資格を持つ団体より、小規模な活動を行う自助グループが多い。州や財団の助成金の要領など資金調達の伝授から、外部へのPR方法、これからグループを作りたいという人たちの仲介など、自助組織のサポートなら何でもする。

 現在、千グループが利用。センター長のイヴォン・オルテルさん(40)は「社会に向け何か働き掛ける運動や事業の展開、財産を持つ場合にはe.Vになることを勧めている」と話す。

 オルテルさんがセンター長になって今年で6年。いま一番力を入れているのが自助グループの横の連携、ネットワーク化だ。93年にはさらに4つ拠点を増やし、ますます利用団体が増加。オルテルさんは「組織が発展するには互いに学び研さんしあう必要がある。専門家ともパートナーシップを取っていけるのが理想」と話し、利用者で定期的に会合を設けているほか、分野ごとの研修会も積極的に主催している。

■一般市民の利用増加

 「ひと昔前まで、自助グループはハンディキャップを持つ人の集まりとされ、一歩引いた目で見られていた。しかし、自助グループこそは自分を主張する第一歩ということが徐々に市民に理解されはじめた」とオルテルさん。

 その証拠に現在、一番のセンター利用者は「自助グループに入りたい」という一般市民だ。年々、その数は増えており、全体の約6割を占めている。

 だが、その小さな“改革”は始まったばかり。路上で街頭PRを行っても無関心な人は多いし、実際、自主グループを結成してもすぐに消えてしまう例も数えきれないという。

 ただ、自助グループを作りたいという市民の思いに答え、既存のグループの活動を持続させていくための支援システムがそこにはあった。(年間キャンペーン取材班=佐藤いづみ)(99.11.18)

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