十勝の課題-3-

人材育成


リーダー不在、質量確保に悩み
「共同事務所」拠点に期待

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NPO28サロンが開設を計画している「共同事務所」(帯広市西1南28)。関係者が集う活動拠点が、人づくりの第一歩と期待されている

■人材がいない

 「ボランティアの質・量を安定的に確保していければ、その中からリーダーも養成でき、余裕が生まれる。そうなればNPO法人として、社会的認知を得るための活動にも力を注げるのに…」。浦幌町・オーディナリー・サーバンツの五十嵐友子さんは、“人づくり”の必要性を訴えた。

 十勝管内で8月20日現在、NPO法人の認証を取得、または申請済みの団体は8つ。ただ、法人格取得で円滑に活動できている団体はほとんどない。原因は、6月15日に法人化申請した「ママサポートえぷろん」(足寄)の、帯谷昭子事務局長の言葉に凝縮される。「ホームヘルパーや保母など、業務そのものに関しては専門家がいるが、NPO法人として、業務や活動のPRなどをマネジメントする人材がいない」−。

 「リーダー不在」と「ボランティアの質量確保の難しさ」。グループホーム的な活動をするオーディナリー・サーバンツも、この問題に直面している。

 同法人では、資格を持たない人は、ヘルパー養成講座を受講してもらう。二級ヘルパーの資格を取得するには約8万円かかり、その半額は法人で負担している。既に3人が取得したが「人手はまだほしい」という。

■高齢化の悩みも

 「社会福祉団体の研修などには厚生省から、企業のオフィス・ジョブ・トレーニングには労働省から、それぞれ補助が出る。なぜNPO法人には人材育成に対してお金が出る仕組みがないのでしょうか」と、五十嵐さんは首をひねる。

 一方、既に円滑な活動をしている団体にも悩みはある。音更町文化事業協会(丸山信之会長)では、発足当時からの約80人のメンバーが固定化、新たな人材が育っていないのが現状。リーダー格をはじめ高齢化が著しいのだ。「若い人と私たちでは、感覚の違いが大きい。若い会員でなければ若い人に受ける事業は難しい」と、五十嵐隆男町文化センター館長は、次代を担う人材の育成に頭を悩ませる。

 それでは、人材育成やボランティア確保の手段はないのか。NPO28サロン(千葉シゲル代表)は「サロン自体がNPOを目指す様々な団体の寄せ集め。まずサロンに多くの任意団体を引きこむこと。そこから人づくりは始まる」と主張する。その意味でも、11月に完成する「共同事務所」は、今後の十勝のNPO活動にとっても重要な拠点であると考えている。

 また、ボランティアの質量確保について、NPO法人ではないものの、芽室町で活動する住民互助方式の介護組織「めむろたすけ愛」(本田千枝子会長)の試みに解決への糸口が見える。

■受益者も負担を

 同会は、無償ボランティアではなく、必要最低限の労働対価分は、受益者負担してもらおうというシステム。サービスを受ける側と提供する側とが対等な関係でいられることを狙ったもの。開始後、間もないため試行錯誤の段階だが、日本の「暇だからボランティア」ではなく、欧米のように「暇を作って」働く姿勢が生まれることで、安定的な労働力が確保できる可能性は高い。

 今後、市民活動の中から多様なNPOが育ち、社会を支える一角を担う存在になるためにも、根幹となる“人”の育成がカギ。体制を早急に構築しなければ、NPOの掲げる理想は「絵に書いた餅(もち)」になりかねない。 (年間キャンペーン取材班) (99.8.21)

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