十勝の課題-1-

行政との提携-1-


中央と地方で温度差
緊急地域雇用特別交付金 NPО委託予定ゼロ

◇  ◇  ◇

phot

行政がNPO法人の活動を理解し、対等な立場で連携を深める姿勢が求められている(十勝支庁環境生活課道民生活係のNPO法人申請窓口)

 「労働省が創設した緊急地域雇用特別交付金は、本来なら民間企業のみが対象でも問題ないはず。あえてNPO(特定非営利活動法人)を併記したことに、国の期待を感じる。しかし十勝では、どの市町村もNPO法人を委託予定先として申請するまでには至らなかった」−。

 十勝支庁経済部商工労働観光課の山元吉雄副主幹兼労働係長は、NPO法人の活用をめぐる中央と地方の温度差を指摘する。

■NPO促すが…

 雇用創出を目的とした同交付金は今年度から2001年度までの時限措置だが、国が拠出するとみられる財源は約2千億円に上る。このうち、道が創設する基金には100億円程度が配分される見込み。事業は市町村か都道府県が民間企業、NPO法人などに委託する形で、採択されれば経費の全額が交付金で賄われる。

 道が各市町村に伝達した要領によると、委託事業の対象範囲は「教育、文化、福祉、環境、リサイクルなど」と幅広い分野を想定。一方で「建設・土木事業及び当該事業の実施による直接的な収益を見込んだ事業は対象外」と明記され、NPO法人の活用を促す枠組みとなっている。

 十勝支庁では7月21日から8月3日まで、市町村の希望事業を調査。学校林の剪(せん)定や、ごみ資源リサイクル化の推進、2000年4月の介護保険制度導入を見据えた被保険者のデータベース構築など約160件が寄せられたが、NPO法人を委託予定先に選んだケースは皆無だった。

■実績なく慎重に

 山元係長は「補助金適正化法の網がかかり、会計検査を受ける可能性もあるため、過去に公共事業を請け負った実績のないNPO法人との契約は慎重にならざるを得ないのかも。行政とのパイプが細いことや緊急性の高い活動に乏しいことも、申請がゼロだった要因では」とみる。

 いくつかの市町村も、NPO法人との連携には「将来的に業務委託を考えてはいても、現時点の活動は必ずしも盛んではない」と厳しい見方。同交付金の活用についても「NPO法人は社会的認知度が低く、どんな活動をしているか把握できない」と消極的な理由を示す。

 ただ、今回の募集はあくまでも「事前調査」の名目。改めて正式な応募を呼び掛けたり、委託予定先の変更を認める可能性も残っている。「交付金の基準額を超えそうな量の事業を望んでいる市町村もあり、採択に向けて非営利のNPO法人を生かそうとする場面も出てくるだろう」(山元係長)という。

■行政が活用を

 NPOの法人認証を受けた十勝文化会議の阿部皎事務局長は「NPO法人の利点は、行政サービスが及ばない部分を、きめ細かく展開できること。その意味では、行政がNPO法人を活用するという意識が大切なのでは」と提起する。

 地方分権の波が押し寄せる中、財政難にあえぐ自治体にとって市民参加型のまちづくりは不可欠。NPO法人を積極的に活用していこうとする姿勢は、地域社会全体に恩恵をもたらすことになる。  (年間キャンペーン取材班)

 昨年12月の特定非営利活動促進法(NPO法)施行以後、十勝管内では4団体がNPO法人の認証を受けたほか、数団体が認証に向けた取り組みを進めるなど、動きが目立ってきた。しかし、行政との連携や人材の育成、財源確保など課題も多い。年間キャンペーン「広がれ市民ネットワーク−NPOは社会を変えるか」第三部は、こうした十勝のNPOの課題を探る。 (99.8.18)

3-13-23-33-43-53-6
index


HOME

 
TEL0155-22-2121  FAX0155-21-2247